なんなんだろう俺。


発見(人生に終わりを告げる)




『拾ってください』

なんだか知らないけど、骸さまの日本の捨て猫はこうじゃないと駄目らしいですよとかいって、茶色い段ボールに、真っ黒サインペンできゅっきゅっきゅ。なにこれ俺よくわかんない日本って。
もっとついでにいうと、骸さまが拾われるなら雨の中で真っ赤な傘を揺らす可愛らしい少女がベストです! といっていた。なんか注文がながいと思う。
ただ面白いぐらいにさっきイキナリ降り出した雨に、俺の体の体温は急速に冷えていった。しょうがないめんどいけど、段ボールの中におかれた毛布の中に、ごそごそ入り込んだけど冷たかった。………もういい、めんどい、このままでいい。とかいってる場合じゃないので取りあえず抜け出した。

段ボールに足をかけて、めんどいけど「にゃーん」お願いだから誰かたすけてくれ。
気づけば拾ってくださいの文字が雨で濡れて消えてしまっている(骸さませめて油性ペンでお願いします)『才てくこい』 大変だ、もう原型なんてとどめていない。


「にゃーん」

取りあえずもう一回鳴いてみた。むしろなに、泣きたいかもめんどいけど。
別に真っ赤な傘なんてさしてなくていい。別に可愛らしい女の子じゃなくていい。とりあえずこの状況を、なんていうんだ、えーと、日本語めんどい。そうだ打破できるなら、俺もうめんどいっていわない。多分うそだけど。


このままどこかに抜け出して自由の旅に出たい。けれども骸さまがいつどこで見ているか、俺には想像もつかない、つけたくない『クフフフ、千種、駄目じゃないですか抜け出したら。日本には三味線という面白い文化があるそうですよ』 暗に俺に皮になれという意味じゃないかな。


「にゃーん」

ぶるぶる震えている声は、かわいげも何もあったもんじゃない(別にそんなの出す気ないけど)、けれどこれで誰かが見つけてくれなかった場合、俺は骸さまに土下座でもして、この役目を犬に変わって貰おうと本気で思った。

すっ
あ、たいへんだ、俺のただでさえ薄い目が、もっと薄くなりつつある、まぁなんていうの、説明めんどいけど、意識がとびそうだ(人間っていうのは体温が低くなると眠くなるらしい、そしてそのままもっと体温が低くなるんだ)(猫でもそうか知らないけど)
なるほど俺は死ぬのか。「寝たら死ぬんだ!」頭の中で、この頃犬がはまっているらしいテレビドラマの中の台詞が聞こえた。誰かあのドラマのように、俺の頬をひっぱたいてくれ。でも俺痛いのキライだ。でもなんていうの? マフィアとの抗争で死亡しましたとかいうのならまだ格好はつくけど、猫になって死亡しましたって何ソレマジで。格好がつくつかないの問題じゃなくてお前頭大丈夫? って俺なら思うね。

あれ、今気づいたけど、今俺って幻術じゃん、骸さまの。なにこの俺が死んだ場合、俺の死体が道ばたに転がってる事になるわけ、段ボールの中に正座した状態で。




さようなら、いるかいないか分からないお母さん。俺は妙な上司を持った所為で、このまま遠いところに旅立ちます。

うっすら薄れる意識の中で、真っ赤な何かが俺の体に覆い被さった。
なにこれお迎え?


人生よさようなら、辞世の句でも詠めばよかったよめんどいけど。





ぽっくりと飛んだ俺の意識の外で、真っ赤な傘を揺らせた可愛らしい少女が、俺の体を抱きかかえているなんて知るはずもなく。


     猫?」


ぴちゃぴちゃとなる雨音だけが、響いた。とか、どっかの三文小説じゃ、あるまいし。




1000のお題 【482 冷え性】




2007.12.25