暖かいタオルを、そっと差し出された。
名前(俺じゃなくて彼女のだけど)
取りあえずクラスメートだという事は思い出した。なんどか顔を見た事があったし、話した事があった気がしないでもないめんどいけど。
でもそのときも、なんかこの子が業務連絡だかなんだかをしているとき、俺はとてもめんどくなって、遠くの空を見上げながら、うんうん、と何度も首を立てに振って、(今日の晩ご飯はおでんにしよう)と考えていた。おでんくいたい。
「ねこちゃん、ちっちっち」
その子がまるで猫を呼び寄せるみたいに、小さく口をならして(まるでじゃないのか)人差し指をちょいちょいちょい。さっきの俺がびしゅっと裂いてしまった後が見えて、微妙に、胸の底の方がなんか痛くなった。あいたたた。
取りあえず、いつまでも、こいつにちっちっちとさせておくのも可愛そうなので(おれって優しい)おらよっと一歩進んでやった。これ以上はめんどい。「猫ちゃん、かわいいね」 いっておくけど、俺は猫ちゃんなんて名前じゃないおまえ、って叫びは変わらず、「にゃーん」 いやいやコレじゃ肯定してるみたいだろ俺。
(この、クラスメートの名前、なんだっけ)
ほんの少し、喉まで出てきてるのに、こう、なんていうか思い出せない。こう、微妙に覚えてるのに、微妙に分からないって、気持ち悪くない? めんどいけど!
あああ気持ちわるいなぁあ、とごろんごろんと転がっていると、クラスメートが、ちょいと手を出して「かわいいなぁ」 別にうれしくないし。ちょっとお前もう触んなよ!
ぶわっと、その手を出した瞬間、なんか思い出しそうになった。手を出して、『こんにちは、柿本くん、私 』
もう少し、そうだこいつの名前は、と頭の底から文字が出ようとしたとき、床に置かれた教科書が目に入った。
『3年 』
ちょっと今俺が思い出しそうになったんだけど(空気よめよ)
1000のお題 【70 理不尽大爆発】

2008.02.02
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