「どうしようかな」
と、さんがいった。
よし、決めた!(何がですか)
寧ろ俺がどうしようかって状況だと思う。骸様に猫になれといわれて、段ボール箱に放置されて、挙げ句の果てにクラスメートに拾われて。 俺はこれからどうしたらいいんだろう、と真面目に考えるよホントめんどいけど。骸様は自分の幻術の効力がどれくらい続くのかという実験だといっていた(気がする)つまり俺は、自然とこの幻術がとけるまで、猫の格好のまま身動きできないワケで、骸様が助けてくれるワケもなくて(あれ、俺一生元に戻らないってオチも用意されてるのコレ)
いつまでも俺はさんの家にいる訳にはいかない、と思った。かといって、アジトに戻れば骸様はまた俺を段ボールに詰め込んで、クフクフとかいいながら嬉しそうに『実験』されるのだろう(もうだめだこれ)
前にも後ろにも道がない状態の俺はどうすればいいんだろう。敢えていうのならば絶壁の崖が後ろにそびえ立ち、目の前にはざざーんと音をたれる海が俺を襲うみたいな(敢えていってないな別に)
飛び込むべきなんだろうか、海あたりに。それとも別の選択肢とやらで、空へと空中ジャンプを試みろって話なのか(骸様の部下ならこれくらいとかいう感じで)(いや流石に俺には無理だけど)
「んんー、どうしようかなー」
またさんの声が聞こえる。だからさ、俺の方がどうしようかなな訳分かるこれ。
当たり前の如く意思疎通を感じないさんにさようなら、と別れを告げる事にした。こっそり。取りあえずさんのおかげで命の危機は救われた。段ボール箱の中での凍死の危機は救われた。「にゃー」 お礼をいっておくよ本気で。今度学校で会ったときは、きちんと(めんどいけど)君の話を聞いてやってもいい(別に業務連絡ぐらいしか話した事ないけど)
くるまれたタオルから体を出して、「にゃー」さようなら、Arrivederci! せめてもの感謝の意(日本人はこういうんだろ知らないけど)という事で、フローリングをなるべく傷つけないように、歩く。ちゃかちゃか。なにこの音。とりあえず最後だ、という事で、俺はちらりと後ろを振り返った。
「よし、決めた!」
さんは、キラキラした目で俺を見てきて(ちょ、なんだってんだ)「決めたよー。いつまでも猫ちゃんじゃダメだからね」 へらりと笑った顔に、一瞬毒気が抜かれそうになったものの、なんだよ、という言葉を、「にゃーん」
という言葉で返す。
彼女はまた、俺に引っかかれない程度に手をすっと出して、「決めたよ、君の名前」 なまえ? 「うちのクラスの、柿本くんにそっくりだから、ちくさくんね」
よろしく、ちくさくん。
にっこりと微笑んだクラスメートを見て、はじめからコイツはその気だったのか、とちょっと思った。
1000のお題 【600 ところがどっこい】

2008.02.02
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