「はい、ちくさくん」
にこりと彼女は笑った。
キャットフードはイヤ(当たり前だろ)
ことん、と置かれた器を見て、俺はホントにもうなんていうの? もうこれなんていうのどないせぇっちゅうねんといいたくなった(関西弁って難しい)
茶色くてなんだかいびつな形をしていて、極めつけには猫うまうま! とか書かれた商品名。しょうがないよねしょうがない。こんな体になっちゃったって事で、もしかしたら美味しく感じるかもしれない。いいやもっともしかしたら、人間が食べたってとっても美味しくまろやかに感じるかもしれないうまうま。
けれどもはっきりと一ついえる事は、コレを食べたらもう俺おしまいだ。
何かおしまいかというと、なんていうの、日本語で、あれだ、めんどいえーと、もういいや。
にこっ、とさんは嬉しそうに笑っていて、「おいしいよー、ちくさくん!」 ふざけんなお前が食べてみろとかマジでいいたくなったっていうかいった「にゃー」「うんうんちくさくん、お腹減ってるんだね」やっぱ意思疎通なんて無理だろこれ。 っていうかさっきからちくさくんちくさくんってさんにいわれると凄く妙な気分になるんだけど。柿本くんっていってほしい。名前にくん付けだなんてぶっちゃけ俺初めてかもしんない。にゃん。
「ちくさくん、食べないの?」
よしよし、と頭を撫でようとしたさんに触んじゃねぇよチクショウめと「フギャー!」「うわわっ、ちくさくんごめんね」
またほんの少し赤い線が引かれたさんの手の甲を見て、あ、俺またやっちまった。となんていうのこれ、罪悪感? ずきーん! と何かが胸の中でちょっとなんかなった感じがした。
そうだ俺は今さんの猫となってしまったのだ。こんな事してはいけないに決まってる。かもしれない。屋根無しなんてもう勘弁だ。今度こそ本気でしぬ。こんな脳天気な死に方してたまるものか。
ごくり、と唾を飲んだ(果たして俺にそんな事が出来る機能があったかは不明だけど)ごくり、ごくり。猫うまうま。
ぱくり、と小さな口を大きく開けた。俺、いけ。俺、頑張れ。
あーん、ぱくり。
なんてできるかべらぼうめ! がっちゃーん! 「ちょ、ちちちちくさくーん!?」
取りあえず猫うまうま以外のまともなご飯が出るまで、死ぬ気で逃走してみた。
(きゅるきゅると鳴る俺の腹可愛そうだった)
1000のお題 【360 早まるな】

2008.03.11
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