「ちくさくーん」

にこにこと微笑んだ顔のまま、さんは俺に手を伸ばした。


撫でさせて(ちくさ考える)




ふっざけんなこいつなんだその手はなでなでか。なでなでなのかこのバカめんどい。ぶっちゃけ本能の赴くままにシャキーンと光り輝く爪を高速でさんに叩きつけても俺は全然問題ないんだけど、既に計二回しゅぱっと切り裂いたさんの人差し指を思い出した。

ぽとぽととこぼれ落ちた真っ赤な滴は、絨毯の上じゃなくてフローリングの上に落ちたから、もう既に跡なんて残っていないけれども、ぐさっ、とほんの少し突き刺さった感覚が忘れられない。
ほんの一瞬だったけど。ほんの少しだったけど。


ぐぐぐっと出ていた爪を、じーっと俺は見詰めて、よしよしと俺の頭の上で何度も往復するさんを見てみた。じー。よしよし。じー。よしよし。
何度も耳の間をぴくぴくと動かしていた所為で、飛び出ていた爪先が、ほんの少しずつ引っ込んでいって、よしよし。


    しょうがないな付き合ってあげるよめんどいけど

取りあえず骸さまの興味がどっかにそっぽを向いて、やっと元の生活に戻れるようになるその時まで、お世話を頼もうじゃないかかなり癪だけど「にゃおん」

さんがにっこりと笑って、「どうしたのちくさくんったらもう可愛いなぁ」とよしよしよし
なんだお前なめてんのか「にゃーん」


とにもかくにも骸さま。こんなこと面白くもクソもないので(俺にとっては)さっさと飽きちゃってください。その実験とやらをにゃーん。やっべ口癖になりそうにゃーんでめんどい。



1000のお題 【812 自己抑制】







2008.04.17