にこにこにこ。彼女はにっこりと微笑んで、俺の脇下を、がっと掴んだ。


寝るときも、一緒(え、マジで?)




掴まれた瞬間に、ぐ、と力をいっぱい込めて、地面に張り付くように伏せをしようとしたってのに、どうやらそれは無駄な努力だったらしい。さんはあんまりにも軽々と俺を持ち上げて、ぶーん、と高い高い(いやいやいや、あり得ないと思うんだけど)

あんまりにも久しぶりな高度に、うえっぷと戻しそうになる感じを、ぐっと押させて、ちょっとやめてよさん俺本気で怒るよめんどいけど。勢い余って、「フシャー!」と声をあげたってのに、さんは特に気にした様子もなく、なんの気なしに、にっこりと俺にいったのだ。


「ちくさくん、一緒にねんねしようかー」


俺からいわせて貰えれば、その幼児に語りかけるような口調は本当に勘弁して欲しい。恥ずかしいを通り越して、情けない気持ちへとぐんぐん登っていくってのに、今日の所はそんな事も考えなかった(何いってんだコイツ)異性をなんだと思ってるんだいってみろ! とかすごんでみたくも、今の俺は情けなくさんにぶらーんと高い高いされる小さな小動物だった。忘れてた。


勘弁してよホントもうめんどいのにといいたくてたまらない気持ちをぐっと押させて、しゃ! と爪をひっかいて、真っ白なシーツを、ぽたぽた赤い染みを作る事も気が失せて、そのままぐったりさんに布団の中に引っ張り込まれた。

正直布団なんて元々使わないから熱っくるしいし、ぴくりとも身動きできない俺の今の状況は、きっと可愛そうな猫になった男子ナンバー1だと思う。あれそんな事なるの俺くらい? まぁいいや。
あああ、と諦めて、眠ってやろうじゃないか、とパッチリと目を閉じた瞬間だった。さんが、「ううん」と寝言だかなんだかをいいながら、バタンと寝返り

「ギニャー!!!」


尻尾ふまれた!



1000のお題 【410 ふかふかのケダモノ】






2008.05.15