いつの間にか時間が過ぎていた。
大好き(そんなバナナ)
俺は段ボールに最初入っていた訳で、骸様に「僕の幻覚がいつまでもつかの実験よろしくベイベー!」なんていわれて強制的ににゃんこになっちゃったわけで。あれベイベーなんていってたっけまぁいいか。
それでもっていつの間にやらクラスメートのさんと寝食を共にする仲になってしまった訳で、キャットフードはごめんな訳で。
朝が来るとおはようと起こしに行って、腹が減ったらにゃんにゃん鳴いて、学校に行く時間になれば、制服姿のさんに行ってらっしゃいの合図として、尻尾を小さくぱたりと振る。
それで帰ってきたさんに、ただいまの返事として、おかえりと声を掛けるのだ(残念ながらにゃーとしかいえないけどにゃーん)
(おかしくないか俺)
フローリングの上に、爪がこすれてチャカチャカと音がなる。随分下からの、小さな俺の目線は、力一杯後ろ足を踏ん張ってイスにでも登らないと、辺りが見回せない(おかしくないか、俺)
「あ、だめだよちくさくん、イスの上に登ったりしちゃあ」
さんが何の違和感もなく、俺の脇辺りに、すーっ、と手を差し込んでくる。そのまま俺も、なんの違和感もなく、ぶらんと体ごと垂れ下がった。尻尾がぴろぴろ動いているのが見える。
ぴろぴろ。ぴろぴろ。
あまりにも当たり前に、ゆるりと染みこんでいった感覚に、ぐっと胸を掴まれたような気がする。俺はぷらんと垂れ下がったままだけど。
ああ本当に、のめりこんでしまいそうじゃないか。
ねぇ、とほんの少し口元を緩ませるさんへ、返事の代わりに、小さくしっぽを震わせた。
(ああ、めんどくさい)
1000のお題 【125 ソロモンの指輪】

2008.06.28 |