『ワン、ツー! ワン、ツー!』
テレビから聞こえるリズムにワン、ツー。ワン、ツー。

そしてその目の前で小学生もワン、ツー。ワン、ツー。

…………この子、何やってるんだろう。


番外編  タコヘッドがやってきた




無言と無表情で腕を振り続ける恭弥くんをじっと見た。なんなんだろう……楽しいのかな……でも延々と無表情なのは何なんだろう……楽しく、ないのか……?
何故だか見るだけで不安になるのですが、せめてキャッキャウフフと楽しそうな効果音を出してくれないかなぁ……とソファーにのっかり、さっきから繰り替えされる思考をもう一回繰り返す。

「恭弥くん、それ楽しい?」

恭弥くんは無言で腕を振り続けた。そしてワンツーし続けた。
…………これは、これで可愛いぞ……(ごくり)

取りあえず写メ写メ、もしくは動画動画と私がケータイを探している途中、ピンポーン、とインターホンが響いたのだ。お、どなたかしら、とはーい? とドアホンをとってみれば「宅配便でーす」 
なんだろう、お母さんからかなぁ、と私はハンコを取り出しつつ玄関に向かう。そしてその後ろをワンツーに飽きたのか恭弥くんが素早く通り抜けた。びゅーん、と通り過ぎる恭弥くんの残像を見て、「あれ、恭弥くん?」と首を傾げると、恭弥くんはちらりとこっちを見て呟く。「……僕が、出る」「うん? じゃあおまかせしようかなー」

はいどうぞ、とハンコを渡すと恭弥くんはしきりにコクコク頷いた。お手伝いが出来て嬉しいのかなぁ……とリビングから聞こえるワンツーの声に耳を寄せながらもうんうん頷く。恭弥くんはドアをカチャリと開けた。すると宅配便のお兄ちゃんが、「お?」といいながら恭弥くんを見下ろす。両手に持っていた大きな荷物をゆっくりと下ろすと、「えらいね、ここにハンコおねがいできる?」

恭弥くんは精一杯手を伸ばしながら、ぽこんと上手にハンコをおした。お兄さんがにこにこ笑って「ありがとうございました」と私と恭弥くんに頭を下げるとそのまま去っていく。私はとりあえずヨシヨシ、と恭弥くんの頭をなでて届いた荷物を見てみた。

「…………宛先がないぞ?」

てっきりお母さんだと思ったのに、違うらしい。あれーあれー、と思って首をかしげつつ、もう一回段ボールを見てみる。ナマモノと書かれたマークがナマモノ。ご飯系だろうか。よいしょ、と段ボールを持ってみるとお、予想以上に重い。これはなんていうか、腰に来る。えっちらおっちら持ちつつ、ついでに私の腰をきゅーっと握った恭弥くんをつれて、やっとの思いでリビングへと持っていった。

とりあえず、と私はピリピリ段ボールのガムテープを開けてみる。開けている最中に不思議に思ったのだがこの箱、何故だかぷつぷつと小さな穴が開けられていた。ふうん、変なのー、と思いつつ、恭弥くんと一緒に段ボールを開けて覗いてみた。


中には銀髪タコヘッドの子どもが入っていた。


「………………」
「………………」

とりあえず私と恭弥くんは固まり、段ボールの中身をもう一回確認する。駄目だ、変わらない。タコヘッドっていうかちびでらが入ってる……!
ちょっと待てオーマイゴッド! と私は頭を抱え込んだ。見ないふりをしたい。しかしできない。ど、どうしよう恭弥くん! と恭弥くんを見てみると、恭弥くんは「うん」と真面目に頷いて、「もやす?」「こ、こわいこと言うなぁああああ!」 証拠隠滅ってか!

テレビからは相変わらずワンツー、ワンツー! と元気なお姉さんの声が聞こえていたのだった。わ、わんつー!




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                         アトガキ

2010.12.29
小学生雲雀をもうちょっと……って言われたので。
多分、そのうち、つづく!