の様子がおかしい。
○○出没注意報
の様子がおかしいのはいつもの事かもしれない。 いや、様子がおかしいっていうか、いつもはあり得ない程可愛らしいっていうか。
いや、そうじゃなくてだな。
朝のHRの時間。いつもなら教卓の前にどどん、と偉そうに佇んで、「変質者が出没しているので、特に女子は気をつける事」という教師の話を、バカみたいに一生懸命聞いてるの姿は今日はない。
の視線の先は、何故か俺。
気のせいじゃなく俺。
思い違いとか、思いこみとかじゃなくて、俺。
喜んでいいのか、心配していいのか。
気のせいかと思って、男子トイレに行ってみても、休み時間ごとに教室を移動しても。
付いてくる、付いてくる、付いてくる。
一 体 何 な ん だ
「渋沢、俺あいつに何かしたか」
「いやぁ、俺に聞かれてもな」
目の前の無駄に老けた男(渋沢)に分かる訳ねぇのに聞く俺。
(駄目だ脳細胞がやられてきてる)
「三上」
「んだよ」
見てる見てる、が見てる
「今日は監督が、法事で居ないらしい」
だから今日は部活ナシだ。
……そういう事はさっさといえよ
キンコンカンコン、とチャイムが鳴り響いて、放課後の時間をさしてからというもの、いきなりぽっかりと開いた時間をどう有意義に過ごすかなんて考える暇もねぇ。
(の事でいっぱいだったんだよ悪いかよ)
取り敢えず、学校を飛び出して、後ろにちゃんとがいるか確認して。
ほんの少し後ろを歩くを見て、微妙に二人で街に繰り出せる事に喜びを噛みしめたり(違う事は分かってんだよ、負け犬根性な事も分かってんだよ)
ほんの少しずつオレンジ色に空が染まる頃、ふい、と後ろを確認すると居なくなっていた影。
『変質者が出没しているので、特に女子は気をつける事』
おい、誰だよ、朝こんな事言ってたヤツ。
何で居ないんだよ、のヤツ。
血が逆流するような、どくどくと溢れる感覚に、気づいたら動く足。
(アイツをバカだと思う)
ずずいと横切る景色を只、頭の端だけで捉えて
(けどな、それ以上にバカなのは)
赤の空気をめいいっぱい吸い込んで
(俺に決まってんだろ)
「ちょっと待てコノヤロウ!」
ホント、バカだ。
1000のお題 【933 ○○出没注意報】

2006.08.15
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