「またね、タクミくん!」
そんな問題発言を、彼女は残していった。
唇を寄せて
じろり。部室前の微妙な奮闘。
三上先輩に睨まれる覚えは 確かにある。
「ふうん、タクミくん…なぁ」
タクミくんですね。
「笠井くん大好き、なんだと」
大好きらしいですね。
「はんっ」
なんでアンタに鼻で笑われなきゃならないんだ…
先輩(いや、先輩でいいかな)の事は、実は前々から知っていた。
一番初めに見た時思った事は、小さな先輩。
二番目に思った事は可愛い先輩。
三番目は、 敢えていわない。
(きっと彼女は覚えていないんだろうな)
『キミ、一年生? いいよ、案内したげる!』
ふわりと漂う懐かしい記憶に酔いそうで、それでも少しずつ、がらりと何かが崩れていく音が聞こえる。
別に、ずっと前から知っていた。
俺が、もっと鈍ければよかったのに。なんてよく思う。
(三上先輩、俺さっき、アナタの苦手なもの、先輩に教えちゃいました)
(先輩以外だったら、俺多分、微妙に誤魔化してました)
(先輩だから、いいました)
(少しは、痛い目、みちゃって下さい)
ていうか、ぶっちゃけ、嫉妬はいい加減にして下さい。
これはきっと、諦める諦めない以前の問題なんだ。
1000のお題 【8 唇を寄せて】

アトガキ
あ、武蔵森って、男女で校舎が別れてた
2006.10.3
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