バシンッと何度も繰り返されるボールの打ち返し合い。
いつもとは違う、これはこれで       中々緊迫感があるもんだ。


素と天然の区別がつかない




「ひゃっ…」
「…っ」

バシンッと一つ、ボールを胸の中へと滑り込ませた。
じんっと響く痺れと、俺の後ろで息をのむように、可愛らしい声をあげたが、こんなボールに当たらなくてよかった、と一人ため息をつく。

そのまま、を狙いやがったヤツへと、懇親の一発を。
(男子が女子狙ってんじゃねぇよ)(しかもを!)


「おい、大丈夫か」
「…ん」


堂々と、守れる。そんな事に、ふつりと沸く嬉しさを隠すように、出した声は案外固い。
ぴくりと怯えたように震える瞳を見たくなくて、つい、と顔をそらそうとすると、体操服の端っこを、ちょこんと可愛らしく掴まれた。


「あの、ね」
「ん?」
「…ありがとう」




(ヤバい、死にたい)(死にたいくらい、嬉しい)




「…いや、別に、これくらいとうぜ     っぶふ!」





ツクテン、ツクテンと転がるボールの向こうには、


「あ、顔面セーフって頭も入るんですか?」


と、爽やかに笑う笠井と、微妙に怯えている藤代がいた。







(お、お前、いま丁度イイトコだったんだけどよ…っ!)



1000のお題 【930 素と天然の区別がつかない】






2006.10.9