桜の花びらが、地面に付く前に、取れたら、幸せになるのよ。
【意味ないもん!】
初めての中学校、わくわく、どきどき。
絶対園芸部に入るんだ、と何度も、何度も自分の中で呟いて、うふふと笑ってしまう。
(だって、お花、好きなんだもん)
小学校の園芸委員は一回たりとも他の人に譲らなかった。
雨の日だって、雪の日だって、学校のお花の確認チェック。
だから、だから、今のこの状況は、私にとってかなりウフフな展開なのです。
ちらり、ちらりとそれは舞う。
春だなぁ、としみじみ呟きながら、こんな綺麗にピンクの花びらが舞っている中登校できるのは、ものすごく、とっても、もうすんごいほど、嬉しい訳で。
知らない内にぴょんこぴょんこと跳ねちゃったりしちゃったり。
そんな時、ふと思い出したあの言葉。
(桜の花びらが、地面につく前に取れたら )
よし、と右手を目の前にして、拳を作る。幸い、周りには誰もいなくて、人目を気にする必要性だってゼロ。これはもう、やれって、神様が言ってる。
(とれたら本のしおりにするんだ!)
なんて決意したのは何時の事か。
さっきから何度も何度も何度も何度も手を伸ばしても、何をしてもすかっ、と綺麗に花びらは私の手から逃げていく。あれかな、ホントに逃げられてるのかな、コレ。
ここで逃げちゃあ女がすたる!ともっかい自分に活を入れても、運動神経がいきなりよくなる訳でもなし。
「花びら、花びらー!」
ちょっとくらいいいじゃんケチー!
向きになって手をぶんぶん振り回してみても、結局風がおこって、反対に花びらは近寄らない。ちくしょー!思わず叫んじゃいそうだけど、それは根性で却下!
(神様、神様ー、ヘルプミー)
あれだよね、こういうのを、辛い時の神頼みって言うんだよね(あれ、辛いだっけ、なんだっけ)
神様に私が助けを求めてみたら、いきなり目の前に手が洗われた。
ちょっとごつくて、大きくて、男の人の手。
「ん?」
そしてその手はそのままにゅ、と伸びて。
細めの枝に手を掛けたかと思うと、力任せに 折りやがった。
ぽっきん、なんて無駄にいい音が辺りに響く。
「ほらよ」
これ、欲しかったんだろ、ってどこな俺様な態度なソイツ(私はジャイアン以外俺様を認めない!)茶色い枝を私の前に差し出して。
(え、何それ)
私が頑張ってたのに、何ソレ。私がとらなきゃ、意味ないのに。
なんかよくわかんないけど、ぶるぶるぶるぶる体が震え出す。
気づいたら、ソイツの右ほっぺをぶったたいてた。
なんでか、よくわかんないけど、そいつが折っちゃった桜の木の枝を大事そうに抱きしめながら逃走決定。なんなんだ、なんなんだ、なんなんだ!
なんかもう、分かんない。
1000のお題 【659 はらはらと舞う】

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