「あ」
きっと(希望系)
ゆっくりと見つけたソレに、思わず彼女の事を思い出して、少しだけ嬉しくなった。「あはっ」と思わず笑ってしまった声に、タクがちろりと眉を寄せたのが分かる。「どうしたの、誠二」と掛けられる声が、ちょっと変な感じだ。
「なんでもないよ」
「ふうん、花?」
なんでもない、っていってるのに俺の視線の先をすっかりとタクは予測していて、そのビシリと図星を指した言葉に、でっかく心臓が飛び跳ねた(びっくりすんなぁ、もう!)
けれどもタクにそう文句を言っても、「お前は分かりやすいんだよ」と軽い苦笑がかかるだけだ(俺ってそんなに分かりやすい?)
「さんにあげるの?」
ちょこっと低いその声が、俺にしては珍しくいろんな予感がざわめきたった。
(あれ、もしかして)
(うん、もしかしてタクも)
(あ、そうか、やっぱり)
「ちゃんに、あげたい?」
タクは、ちゃんにあげたい?
ぽとりと座り込んだ地面から、モクリと立ちこめた煙がゴホリと喉の奥にピッタリと張り付いた。そのままタクにちらりと視線を上げて、ゆっくりと腰を下ろすタクを見つめる。
すいっと伸ばされた腕は、その小さな花びらへと向かう。
「 まさか」
伸ばされた手は、つるりと小さく小さくその花弁をなで上げて、そんなタクの言葉を聞いて、「うん俺も」とまた小さく俺は言葉を返した。
今度彼女に会う時に、伝える言葉はもう決まっているのだ。
花が、咲いていたよ
きっと、それだけでニコリと笑う彼女がいる。
1000のお題 【349 黙秘権の主張】

2007.02.01
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