いつもの場所で、隠れるように


おい、俺が悪者みたいだろ




「……なにやってんだ、お前は」
「ひっ…あ、三上先輩かぁ」
「俺で何か不満でもあんのか」
「いえ、その反対です」


いつもなら、ぶっきらぼうの仮面のしたで、密かに喜ぶかもしれない俺だが、今回ばかりは勝手が違う。理由を知っているのだ。そう、一から十まで、全部

「お、藤代」

居もしない方向をちらりと見つつ、ぼそりと吐いた言葉に、視界の端に映るソイツがぴくりと反応する。……おい、ちょっと分かりやすいぞ。


「で、お前どうした訳」
「なにがデスかァー」
「声裏替えってんぞ」

誤魔化さなくても、分かってんだよ。そんな事を暗に込めて言うと、は観念したように、しょんぼりと肩を落とした。くっと思わず口から出てしまった言葉を、何とか誤魔化すように、ゴホゴホとした俺の咳はバカみたいだった。


「わかんないんですよ」
だって、私、一番大切なのって、この子達だし


ちらりと流れる視線の先。さわさわ、何も知らずに揺れるそいつら。あ、ちょっと殺意沸いた。

「だから、わかんないんです」



語りかけるような目をしたソイツは、俺にいっているんじゃない事ぐらい分かってる。俺の存在なんてすっぽり目の中から抜け落ちて映っているのは、ムカつくアイツらだ(チクショウ、足が根っこに張り付いて動けねぇくせに)

『    亮って』


昔、誰かに言われた言葉を思い出した(いや、誰か分からないんじゃない、いわれすぎて、分からないだけだ)何度も何度もいわれ続けられたその言葉に、思わず俺は、の存在と俺の存在を置き換えて、その言葉を伝えてしまいそうになる。

『    亮って、』

いいや、と俺は首を振った。違う。絶対違う。


パカリと、開いた口に、ガシリと、ソイツの頭へと手のひらを載せて。


「お前はきっと、そのまんまでいいよ」
(多分俺は、あいつらにこの言葉を言って欲しかった)


1000のお題 【673 いいか、よく聞けよ】





2007.02.05