いいザマだよ、俺たち
休憩は終了した。
サンサンの光る太陽の下、さっきまで元気にかけずり回っていたのもなんのその、黒く染まる木陰の中で、ゆっくりと喉を潤しながら、ぼけーっと空を見上げてみた。快晴ってのは雲が2割だったか3割以下だったか。取り敢えず、暑いという事が事実なのはいっておく。
「あ、先輩、きもちよさそー」
パタパタ振られる尻尾と耳が見える後輩も、今は(いつも以上に)ウザく感じる。けれども「あっちに行け」という意味で手の振り具合も、こいつにとってはこっちに来いの合図に変化するらしい(お前はいったいどこの生まれだ)
厭味ついでだ。と疲れた頭の中から、一つの話題をほじくり出した。
「おい、お前、ふられたんだってな」
ふん、と鼻で笑う俺に、ふふん、と鼻で笑い返すソイツ(うわムカつく) 「ふられてません、保留ってヤツっすよ!」と嬉しそうにいうコイツは何処までポジティブで突っ走ればすむのだ。と一瞬頭が痛くなった。
「それがふられたつーんだよ」
「ちょ、だったら先輩もでしょー!」
「遠回しにだよ」
「そっちの方が最悪だと思うッス」
生意気な、犬だ。
五月蠅い犬がキャンキャン吠える中で、ゆっくりと昔の記憶がよみがえる。
『亮って、私とサッカー、どっちが大事なの?』
『三上くんって、サッカーばっかり』
『三上、お前サッカーやりすぎ』
(私はこの子達が一番大事だってよ)
すっぱりと言い切れたアイツに感嘆の念をあげてやるよ。そんでチリリと痛いこの中も、見ないふりしてやるよ。
(お前は、きっと俺たちと同じなんだ)
だからこそ、なんて考えて、なんて厄介な事に、とも考えて。
(きっと俺は、今のままでいい)
彼女への台詞を、そっくりと自分の中へと解き返す俺が、何故だかとても滑稽に思えた。
ピンクの花弁がまた咲き誇る時はとっくに過ぎてしまっていて、そして先の事を考えるだけで、俺はここから居なくなるのだ、という事をしっかりと印象づけられる。
「そうか、藤代はまだ一年、あるのか」
「先輩はもう卒業ッスね」
まるでそれは、俺の方が、一年猶予があるんだぜ、という勝利宣言に聞こえてくる。
チッと軽く打った舌打ちは、隣のバカには聞こえない。
「あ、タクだ。おーい!」
「ちょ、誠二、何処行ってんだよ」
「おい笠井、もう休憩終了か」
「あ、はい」
ふはぁ、とため息をついて、鳴り響くホイッスルの音に耳を澄ませて。
もう少し頑張るか、と一歩足を踏み出した。
1000のお題 【164 宿命のライバル】

2007.02.05
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