「花言葉」


気を惹きたいだけさ





ぽつりと藤代先輩が呟いた言葉に、思わず私も「花言葉ですか?」と確認するように、彼へと目を向けた。先輩も「うん」と小さく頷いて、「ちゃんは」とまた小さく続ける。

「女の子って、そう言うの好きなんじゃないの」

微妙に確信を持っているのか、気のせいかさっきよりも力のこもった瞳で、私を見つめる。ああ、どうせまた変な事を誰かに吹き込まれでもしたんだろう、とぼんやりと考えた。

「普通は、好きかと」
「じゃあちゃんすき?」
「はい?」
「花言葉」
「ああ、花言葉ですか」


微妙に勘違いされそうな言葉を、ぽろりと漏らした彼に、一瞬ぎくりとした。
好き、なんて真顔で訊かれて、真顔で返せる女の子がいたら見てみたい。いや、いるかもだけど。


とりあえずこんこんと不思議に思っているらしい先輩の頭を、ちょろりと人撫でして、どう答えようか考えた。


「なんとなく、興味の対象外ってヤツでして」


本音が一番だ。と心の中でぼやいた声は、先輩には聞こえる事はない。
どうでもいいけど、気のせいか、しゅん、と尻尾やら耳やらを垂らした先輩に、後輩心で一体なんなんですか。と訊いてみる。うん、ちょっと偉いかも。

ちゃんに、教えてもらおうと思ったんだよ」
「別に、私じゃなくても」
「それ、俺からいわせる気?」


さっきよりも、もっとぴりりと熱がこもった言葉に、頬がぱちぱちはじけ飛ぶ(気がする)
取り敢えず、まあいいか、と思って、目の前の関門、雑草抜きへと私は走るのだ。
(先輩が微妙に寂しそうな空気を漂わせていた気がするけど、気にしない方がいいと思う)
ぷちっと根っこごと、ひっぱった。




1000のお題 【668 どうでもいいけど、どうでもよくない】





2007.02,04