喉がからからに飢えてるみたいに、俺はもう限界だった。


短気は損気




吐き気がする。肉体的にじゃない、精神的にだ。母さんにイライラして、父さんなんて顔も合わせたくない。どうせそっちも合わせたくないんだ。俺が合わせる意味なんて何もない。思わず降りかかってしまいそうな拳を、ぎゅ、と握りしめる事しか俺には出来ない。
ぐつぐつに煮えたぎった心の中での煮え湯が、あふれ出して、俺自身もぐちゃぐちゃになってしまいそうだ。
クチリと噛んだ唇は痛いし、思わず握りしめた両手も痛い。

だから何だっていうんだ痛い。痛い。痛いけど、なんだっていうんだ。何もいらないと思う。何も。叫びだして、震えた喉の奥は、意外とちっぽけで、咳き込んだ。
思わず。思わず、ぽろりと、涙が一粒。

「まさきくん、泣かないで」

背中にきゅ、と何か暖かいぬくもりに、また小さく体をよせた「まさきくんが泣いたら、も悲しくなる」何度も、何度もさすられた背中が、暖かくて、また一粒。
(……何もいらないなんて嘘だ)
真っ暗になった中で、ぽつりと、一つ。「……泣かないで、まさきくん」

ぽろぽろと、俺よりも零した滴に、「ばかやろう」小さく俺も声を漏らした。なんでお前が泣くんだよ、なんて、どこかのドラマのセリフじゃないけれど。

(ぎゅ、と締め付けられたように痛くなるのは、なんでだろう)



撫でられた背中に、伸ばされた手をひっぱって、ぎゅ、と抱きしめた
、泣くなよ」 俺が悲しくなる




1000のお題 【256 短気は損気】







2007.11.15