「依存しすぎなんだよ、柾輝は」
鴇の声
俺の目を、きっと翼は睨んでいった。「なにがだ」ぎっぎっ、と音がなる椅子に俺は座って、カーペットの上に座る翼に、俺はいった。…わかってるだろ。何処か非難めいた口調に、思わず、顎をガリガリと、ひっかく。
「ちゃんのことさ。死ぬまで、お互いにくっつき合ってるつもりかよ」
ついこの間まで、さん、との事を仰々しく呼んでいたはずが、気づけばそう変わっていた。この間まで、椎名さん、と呼んでいたが、翼さん、と呼んでいた事を思わず思い出した(妙な気分だ)
「つまりは翼、お前が気に入らないんだろ」
いった後に、俺は半分後悔した。カンカンカン、と一定のリズムで翼が机に爪をならしていた音が大きくなる。ガン! (……今まで、うちになんて来なかったくせに、あれから、ちょくちょくと来るようになった)
半分の後悔に、半分は、すっきりとした気持ちな俺は、また妙だ。思わず、クックと声を殺して笑ってしまいたい(また、俺は妙だ)
ガン! また翼が大きく音を鳴らした。
「ああそうさ、俺が気に入ら 」
コンコン。控えめなノックオンに、思わず立ち上がって、俺の首もとをひっつかみそうな勢いだった翼は(俺が、座っているからこそ出来る事だが)、ごほん、と咳をついて、その場に座る。俺もギシギシなる椅子から降りて、適当に雑誌を開いた「どうぞ」
器用に片腕でお盆を持って、もう片方の手で、扉を開く。ギギギ。木のこすれるその音を聞いて、立て付けが悪いな、とこっそり思う。
「あ、お茶、もってきたよ」「ありがとう、ちゃん」「おう、サンキュ」
それじゃあ、ごゆっくり。パタパタ、と小さく振る手に、思わず俺達も小さく。
バタン。
ごほん、と翼が本日二回目となる咳をついて、俺も雑誌を閉じた。
「……………なんで、お前の家にいるのに、ちゃんがいて、お茶を出して、ごゆっくり、なワケ?」
「…………まぁ、半分、の家みたいなもんだしな」
また、不満だ、という顔をするコイツは、どうでまたすぐ家へと来るんだろう。俺をダシにして。
(翼の好きにすりゃあいい)
「お前達って、何なの、一体」
「さぁ、家が隣の幼馴染みだろ」
1000のお題 【153 鴇の声】

2007.12.31
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