「あー…きのこぉ」
告白の嵐
眠いなぁ、眠い。ほこほこと俺の上を誇らしげに通過していく真っ白い綿飴達を、がぶりと食いつきたい。お腹が減ったから。眠いなぁ、超眠い。
でもそろそろ、跡部のお使いでカバジが俺を迎えに来るんだ。
(でも、眠いCー…)
お前は寝過ぎだ、ってよくいわれるけど、俺からいわして貰えば、みんなが寝なさすぎだ。ダメだよ、寝なきゃ成長しないよ。ほらガクトとか。ちょたろはもういいや。うん、カバジも。
屋上って、素敵だなぁ、って思った。誰にも邪魔されない。
でもそろそろ俺の眠りを邪魔される、気がするなぁ。でもまだ嫌。
そんな事思っても、ガチャン、と響いた重そうな扉の音に、あ、もう終わりだぁ、って事はしっかり分かった。でもヤだ。
(寝た、ふり)
せめてまだもうちょっと。いつものベストポジションで、カバジならすぐ俺を見つけるだろうけど、いつまでたっても呼びに来ない。おかしいなぁ。
他の生徒? そんな訳ない。俺様に壊せないものなんてない、とか跡部が無茶苦茶頑張って鍵を壊したこの場所(凄いなぁ、跡部)はテニス部員のレギュラーしかしらないし、今はテニスの部活中だ。カバジ以外なんてアリエナイ、と思う。
(でも、変)
カンカンと響く足音は、しっかり二人分。
俺ちょっと耳いい方なんだ。
(なんでだろー)
ちょろり、とあっちからは見えないようにと体をかくして、ゆっくりと入り口の様子を見てみた。無駄に目つきの悪いどっかで見たことのある男子と、女の子だ。
「あー…きのこぉ」 「今誰かきのこといいませんでしたか」 「は? いってないけど」
(きのこ耳超Eー)
そうだ、確かあのきのこはこないだ準レギュに入ったばっかなヤツ、だったかもしれない。跡部がアイツのプレイは面白い、ってちょっと嬉しそうだったの覚えてるよ。でも俺からいわせてもらったら跡部のプレイの方が(色々と)面白いけどなぁ。
「ちょっと、きのこ」
「日吉です」
「五月蠅いわねきのこ」
きのこと一緒にいる女の子は、この頃よくテニスコートで見かける。名前は、えーと、なんだっけ、ちゃんだったかなぁ。
「アンタこんなトコに呼びだして、一体何の用なのよ」
そうそう、それそれ。
今部活中だよ。俺が言う台詞じゃないけど。
ちゃんは微妙に眉をしかめてじっとりときのこを見つめてる。きのこはきのこで、すうっとこっちまで呼吸の音が聞こえるくらい息を吸ったのが分かった。
「アンタにいいたい事がある」
(俺はアナタが好きです。とか? かっこEー!)
ひゅるりと回った風の中で、真っ直ぐに、きのこが、立って
「下剋上だ」
ぽそりと響いた言葉に、思わず俺とちゃんはくいっと首を傾げた。
「俺はアンタを倒して、部長を討つ!」
「うふふ、なぁに、アンタ私と跡部を巡ってケンカを売ろうっての」
「ああ、そうだ」
「なんだとテメェこのキノコが」
「キノコじゃない日吉だ!」
なんだかビシビシととばしあう言葉の中で、色んな事がどうでもよくなって来た俺は、よっこらせ、とマイ枕を取り出した。うんうん、なんていうか下克上ってなんだろう、とか思って、後でカバジに聞こうって思ったけど、俺が覚えてる自信がちょこっとない。
眠いなぁ、と俺が思った時、ちょうどちゃんの“上等じゃオラーーーー!!!”って男らしい叫び声が聞こえた気がする。
1000のお題 【76 手強い敵】

アトガキ
只今テスト勉強中に一服。
日吉一年、ヒロイン、跡部二年ぐらい。
2007.02.27
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