イライライライライラ
がんがんがんがんがん!
無様な音をたてながら、グワグワと私の足音は廊下に響いた。


ぴちゃりと跳ねる音




おかしいな、あんてちょっと思ってた。
この頃クラスの話したこともない女子に呼び止められて、「さん、私もなの。一緒に頑張ろうね!」とかいわれたり、「今なら会員費、安くしとくわよ」とか悪徳セールスマンっぽい事いわれたりで、ちょっと変だな、って思ってた。
(なんつーか、みんな妙に慣れ慣れしんだよね)

そして。とうとう、知ってしまった。聞いてしまった。


さんって、跡部様の事が好きなんでしょう?」

(ちょっとマテェエエエェエエエ!!!!!!)

誰が、何時、何処で、地球が何回回ったときにンな事いった!?
ぐらり、と一瞬頭が遠くなるような感覚に、ガシリと足を突き出してなんとか持ちこたえた。

(ありえない)
(ありえない。いや、それよりも)
(こんなこと、跡部に知られでもしたら      




知られでもしたら、なんだ。


さっきまでガンガンと進んでいた足をピタリと止めた。
ちょっと待って、自分で考えておいてアレだけど、知られでもしたら、何?
正直、私はあんなふぬけた男になんて興味もないし、どう思われたっていい。

(どうだって、いい?)

ああ、また疑問だ。何でだ、何でだろう。



今の、あんな一回や二回、負けてしまったぐらいで、ぐたりと倒れ込む男の事なんてどうでもいい。かまっても、全然面白くなんてない。面白くなんてない。

    私は、面白いから、彼に、かまってた?)

違う。
それは、違う。
思ったからだ、そう、思ったから。

『何で跡部、かまうんかなって、今更ながらに思ってん』

いつか、どっかで訊かれた言葉が、じくりとしみ出す。
ガツン、と一回手を壁にぶつけてブッ叩いた。じーん、と骨の中から痛みがしみ出す。

「私は」

じくじくと。骨の中から。じくじくと。

「私は」

じくじくと。じくじくと。体の奥から、じくじくと。




(アイツが、水槽の中にいる、金魚に、見えた)









1000のお題 【897 駆け引き】



                         アトガキ

金魚


2007.03.02