突然ですが、私って結構庶民なんです。


凄いよ忍足くん




お金持ちが集まるところ=氷帝学園。
そんなイメージが定着しちまってるところアレですけど、私の家は上流階級なんてありえない、中流階級、まあよくて中の上じゃね? ってかんじなのでありますが、何故氷帝学園に通っているかと、世の中にはなんとも便利な特待生って制度があったりする。
(忍足くんも恐らくそれだ)

何故私がいきなりそんなお話をしているかというと。
まあもちろん、皆様のイメージを拭いなおさせて頂いているのも有るわけですが。

少々混乱していますので、頭の中で順序立てて説明している始末でゴザイマス。



何故、私は帰宅しているのだ。
何故、私は歩いているのだ。
何故、私は     忍足侑士の後ろにはりついているのだ。



…おおっと! これじゃまるで忍足くんをストーキングしているかのようではないか。いや違う、全然違う、断じて違う。寧ろあれだ、忍足くんに私が引っ張られてるのだ。ずるずるだ。強制イベントだ。


「なあ、、自分、野菜って何処でこうてるん?」

と鼻息荒く(ちょっとウザかった)尋ねてきた忍足君の質問に答えたのがいけなかった。デパート、と答えた私が悪かった。
「キーーーー!! 何考えてるんや!」とどこらからか白いハンカチを取り出して悔しそうに噛む彼の姿を私は写真に収めることが出来なかったことを後悔している。アレはファンに高値で売れたはずだ。

今日は俺部活休みやから一緒に行くで! 

と意気込む彼は、何処に? という私の至極当たり前な質問をさせる暇もなく、今に至る。


(…このままではいけない)
さあ。アナタはきっちり自分の意見を言える子よ。さあ!


「おおおおお忍足くん」
「なんや?」

案外簡単に止まった彼の足。そのまま視線をにょにょにょにょ、と上へと上げて、振り返られた彼の目線へと顔を固定させる。うん、美形だ。中学生に見えねぇ。じゃなくて。


「私はお家に帰りたいです」
「じゃあ後で送ったるわ」

ダメだ日本語が通じない。






へいっらっしゃい! というかけ声が似合いそうな場所。素敵なまでに緑のお野菜に囲まれつつ、直接日当たりが良さそうに、ぽかぽかとしているのはとても健康そうで美味しそうだ。
ええと、はっぴゃくや。いやいや嘘ですごめんなさい。


「おう、侑ちゃんか!」
「おう、おっちゃん! 久しぶりやな」

無精ひげを生やしたおじさんに、ぴんっと手を立ててにこやかに挨拶をする姿は中々見物ですが、このフレンドリーさはなんだろう。

「ええか、、ここや。ここがポイントや。美味しくて健康にええ」
「はあ」
「まあまあ、お嬢ちゃんみたいな若い子はこんなトコこねぇさ」
「はあ」
「よし、おっちゃん、ナンキンはんぶにトマト一個ちょーだいな」
「侑ちゃんなら大サービスでこの値段だ!」
「ん〜…にしてもおっちゃん、娘さん、えっらいべっぴんさんやねー将来がめっちゃ楽しみやわぁ」
「そうかいそうかい!? よし、大大大サービスで、トマトもう一個だ!」
「せやから、おっちゃん好きやわ!」


(…テンションに、ついて行けない)
なんだこの熱いスピリッツが燃え上がるような場所は。


帰り道、忍足くんからトマトを貰って、あそこはどれだけ安く、どれだけ利益を得る事が出来るかの戦場だと語られた。…ここでも彼の節約術が表れているらしい。




(ちなみに私はトマトがそんなに好きじゃないんだけど)


1000のお題 【611 値切る】







2006.12.13