*萌えキャラ(略)アンケで、キール好きな方がいらっしゃったので思わず *トリップしてきたのがソルではなく、キールだったらif *中途半端で短い 数日前に、変な男がやってきた。 ぼふん、と目の前で変な煙を出して、じゃらじゃら飾りの付いたでかい杖を持って、ギザギザマントのその男は、きょろきょろと当たりを見回した後に、「ここは名も無き世界なのかい?」と来たもんだ。思わず大丈夫かな、と思った。そそくさと逃げようとしたとき、「あ、すまない、そうじゃなくってえーっと、チキュウ? で合ってるかな?」「あ、合ってるもなにも……」 一体あんた、どこから来たの。この広い惑星は、全て地球ですことよ。 俺はそそくさとそいつと距離を取った。そっちもそっちで、ギザギザマントの兄ちゃんは、逃げようとする俺に、「あっ」と手を伸ばそうとした。けれども俺はそのまま後ずさった。力の限り逃げた。危ないものには関わるな、これ、俺の心情である。 だったんだけど。 「いらっしゃいませー」 「…………」 「今は、えーっと、ぽてとがお安くなっております?」 なんで疑問形なんだよ、っていうか、ちょっと発音おかしくないか、と思いつつ、俺は苦い顔をしなあら、メニューにすすっと指をのばす。「いや、ソフトクリームで……」「そふとくりーふおひとつですねー」 くりーふじゃねぇし。 なんだか慣れない手つきでアイスの機械をういうい動かす兄ちゃんの背中を見て、何度見ても、あのときの兄ちゃんだよなぁ、と俺は首を傾げた。今現在は帽子と制服をかぶって、ちょっと髪の毛が外ハネのどこにでもいそうな兄ちゃんだけど、最初の出会いのインパクトが強すぎて、中々忘れられない。 心持ち兄ちゃんが体を斜めにしながら、「どうぞ」と渡されたアイスを見て、思わず真顔になった。「ちょっと、すげー曲がってんだけど」「あ、食べたら変わらないので……」「いやそうだけど」 そんな言い訳するやつ初めて見たわ。 うわ、落っこちる落っこちる、とさっきの兄ちゃんと同じく体を斜めにしながら、後ろに客がいないことを確認して、「……なあ、兄ちゃん、俺と兄ちゃん、こないだ会ったよな?」「え? ……ああ、あのときの」 あのときは驚かせちゃってごめんね、と申し訳なさ気な顔をする兄ちゃんを見て、結構普通の人だったのかな、と思いつつ、まあそこまで気になっている訳じゃないし、まあいいか、とアイスのバランスを保ちながら、てこてこ歩いていった。おっこちるー、おっこちるー、と慌てながら、寒空の下、もぐもぐソフトクリームを食べて帰宅した。 それからまた数日経って、やっぱりあの兄ちゃんが、公園のベンチに座っているところを発見した。まあいいだろう、とそのまま無視をしようとしたら、兄ちゃんの方が俺に気づいた。「あ、こんにちは」「……こんちは」 格好はあのときのギザギザマントではなくって、ジーパンに白いシャツで、いたって普通の格好だ。でも敢えていうのであれば、全体的に寒そうだった。「兄ちゃん、寒くないわけ?」「ん? そうだなぁ、寒いかな」「厚着しなよ、風邪ひくよ」「いや、服がなくって」 これならあるんだけど、とベンチの横にたたんでいたらしい、この間のギザギザマントをぱさりと膝の上に置いた。思わずそれを見て、うっと後ずさると、「どうにも目立っちゃうみたいで、あんまり着ない方がいいかなぁって」「……それは賢明な判断だなぁ」 新しいコート、買いなよ、と俺はそれだけ言い残して、そのまま帰ろうと思った。けれども、「あ、待って」 声を掛けられたものだから、思わず振り返った。「ねえ、きみえーっと」「」 思わず返事をしてしまったけれど、名乗るんじゃなかったかな、とちょっと焦った。まあちょっと怪しいし変な人だけど、まあ別にそこまでやばそうな人じゃないっぽいし、まあいいかなぁ、と適当に言い訳した。 「あ、そっか。きみ、くん? 俺はキール。じゃ、なくってその……ハヤトっていう男の子、知らないかな?」「さあ……下の名前だけ言われてもな」 ちょっとわかんねーよ。とパーカーのポケットの手をつっこんで口元をへの字にしたら、「そっか。ありがとう」とキールの兄ちゃんはやんわり笑って片手を振った。俺はそのままくるりと背中を向けた。 (キールねぇ) 下の名前だか、上の名前だかもよくわからないけれど、多分外国の兄ちゃんなんだろう。だから服のセンスの方も、ちょっぴり変わっているのかもしれない。違いない違いない、と頷いて、それにしても、日本語が上手い外国人さんだったな、とあくびをしながら目をこすった。 TOP NEXT 2012.03.11 1000のお題 【416 傾ぐ】 |