ラビさんが、いなくなった。 何があったという訳でもない。ただ唐突に、ラビさんがいなくなった。またな、といわれた事も、いった事もなかったけれども、また明日になったら会えるなぁ、と当たり前に考えていたのに、ラビさんはいなくなった。 カチャカチャお皿を洗いながらも、やっぱり私のこと面倒くさくなっちゃったんだろうか、となんだかそれが正解な気がするぞ、と我ながらちょこっと凹むような答えが飛び出る。 いつも以上に、きゅうう、と瞳を開いて、泡立てていると、瞳が乾いているからか、パチリと一回瞬きをするくらいで、潤んだ水が、流しの中へと流れ込む。 避けられてるんだろうか。よくよく考えたら、私はラビさんが何をしている人なのか知らないし、ご飯を食べるときに、遊びに来てくれる人だと思って、いっつも乗っかってたばっかりだったかもしれない。 いっつもいっつも、そうなのだ。友達と遊びに行く約束も任せっぱなしで、自分からは何もしないのが私の悪い癖なんだってちょっと分かってた。 でも深く考えないのがのいいところよね、ムカツクけど。と友達にいわれたものだから、やっぱり深く考えず、えへへ、そうかなぁ、と調子に乗っていたかもしれない。 ぐう 喉の奥から、変な声が聞こえた。 寂しいじゃない。悲しいじゃない。情けないじゃない。 赤髪さんに売られちゃったときも一瞬だけぐわりと胸の中を覆った、からっぽな気持ちに、少しだけ苦しくなった。 ぐう ぎゅうう、と唇を噛んでも、ぼろっ、と水色の小さな玉は瞳から溢れてきて、流しに落ちる。 我慢しようと息を力一杯吸い込んでも、ひくひくと喉が嫌な音を立てて、痙攣するだけで、なんの意味もない。 ぐう ラビさんにあいたいなぁ。赤髪さんにあいたいなぁ。 日本に、かえりたいなぁ。 考えたくないな、と思って、先延ばしにしてた事が、どんどんと、溢れてきた。 ちょっとこれは、苦しいなぁ。 BACK HOME NEXT 2008.10.15 ラビさんちょっと任務中ですたい |