只今夜9時真っ暗闇で。


第1話   現れた王子様




「ありがとうございましたー」

出来る限り最上級の笑みを何度か続ける事数時間。そろそろ上がりだってのに、そろそろ苦しいことこのうえない。ひくひくと引きつり始める頬の肉をぱちりと叩いて、目の前のレジへと気持ちを集中。
(チクショウ何か24時間営業だっ)(でもそのお陰で私はこうしてバイトできるんですが)

勤労学生なめるなよ、と根性の如くしっかりとその場に足を立たせた。


「すみません」

心地よく響いた少し高めの少年の声。一瞬遠くなりかけた意識がちょっと恥ずかしくなって、「はい」と返事をしながら、ささっとその少年のお買い物へと目を通す。

(ルーズリーフと、消しゴム)

あ、なんか結構真面目な人かも。とちらりと上を見てしまったのがいけなかった。


真っ白い透き通るような銀の髪。深い深い吸い込まれそうな深青の瞳。均整のととのったその美貌。ちょっと平均より身長が低いのはおいといて、私より年上か、同い年かのその人は

(超、かっこいい)

「あの、」
「す、すみませっ」



。16歳。高校入って初めて始めたアルバイトにて。
王子様を、見つけてしまったのです。


(ああこの燃え上がるようなこの頬の熱は私はどうしたらいんだろう)



1000のお題 【404 愛情の押し売り】


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2006.12.16