| 「合計で、562円になります」 第2話 合計で、ドキドキになります ピッ、となって表示されたお値段を見て、慣れたように、口からするりと言葉が流れた。受け取ったお金をレジに入れて、おつりを出す。ペコリと頭を下げると、ひゅるひゅるとお客様は出ていった。……バイト交代時間、そろそろ9時。 ちらりと時計を見て、チッチッチ、と動く秒針を見つける。誰もいないコンビニの中で、(…そろそろかな)と一人心の中でつぶやいた。 ウィイイン、と自動ドアが開く音がする。思わず反射的に、「いらっしゃいませ」…気のせいか、いつもよりも笑顔な気がするぞ、自分!(お客さんに依怙贔屓はいかんよ!) キラリと見える銀髪に、合わさるような二つの目。うん、今日もかっこいい。 彼は文房具コーナーへいそいそと向かって、何度かその辺りをうろつく。…うん、もし彼が、私がこんなにじっとり観察していると知ったらどう思うだろう。と考えた(やっぱ気味悪がられる?)…けど、かっこいいし。 深夜のコンビニ。シフトは週に三日。けどその三日間とも、決まった時間に訪れる、銀髪少年。…毎日来てるのかしら、と揺れる銀髪を見つめて思った(だったら、結構暇人?) ぼーっ、と考えていると、す、と彼がまた消しゴムをレジに差し出した。私はソレを取って、値段を確認して、打ち込む。 うん、はじめのうちは、緊張で手が震えてたけど、今じゃもう慣れたもんだ。 チラリ、と彼を盗み見てみる。 伏し目がちな瞳に、ドキドキして、何だか泣きそうになる。バクバクなる心臓の音が、もうダメだ。 …いったい、これってどういう事なんですか! と考えながら、私はお値段を口から出していた。 1000のお題 【821 始まりの鐘】 TOP 2007.08.10 |