「で、惚れたと」
「ちちちち違うって!」


第3話   変なトコで、知っちゃった




目の前にぷるん、とおっきな胸を突き出されて、何だかもう泣きたい気分。にやにや顔の彼女はそれでも美人で、ああ、その胸ちょっとわけてくださいな!

「で、どんなのなのよ、カッコイイ?」
「う、うん、そりゃあ、まぁ」
「どんなの?」
「………いわない!」
「ああもう! イトコの乱菊姉さんのいう事が聞けないってか!」
「乱菊姉さんだからいいたくないの!」「な、なにー!」

乱菊姉さんがガバッと体を動かして、私に覆い被さってきた! ぽよぽよした部分が体のいたるところに当たって、なんともいえない気分になる……ちょっと姉さんお静かに。ここ一応私の部屋なんだから。

「ね、ね、どんなのなのよ、が惚れたオトコってのは!」
「だから惚れてないんです!」
「そりゃ惚れてるって。考えるだけでドキドキ☆ってやつでしょ? 夜も頭から離れない。そりゃ典型的すぎるね」
「違うったら!」

何でそんなに否定すんのよ。と乱菊姉さんは綺麗な眉をくいっと寄せて私に顔を近づける。 …うあ、美人。じゃ、なくて。「だって」、とぽそっと私はつぶやいた。「だって、コンビニに、来るって人、だけだよ?」

こくん、と首を乱菊姉さんは横にして、「それがどうかしたの?」どうかしたのじゃないよ、ちょっと待って!

「私、あの子の名前も性格も、何も知らないんだよ。そんなのテレビの芸能人にときめいてるみたいなもんでしょ」
「そうかなぁ」
「そうなの!」

と、私が叫んだ瞬間、チャララララ〜! と電子音が鳴りだした! え、私なんかやっちゃった? と思ったら、がばっ! と私から離れた乱菊姉さんが、鞄に手を突っ込んで、はいはい。といいながら、ぽちっ、とそのボタンを押す。「はいはい乱菊でぇーす」……やる気なさすぎ。


ががががが! と男の人の怒鳴り声が聞こえて、乱菊姉さんが、「はいはい分かってますって日番谷会長」といった途端、またがががががが! と怒鳴り声が聞こえた。乱菊姉さんは「うひー」といいながら、片手で耳をふさぐ。……日番谷って珍しい名前。

二言か三言かの会話の後で、「はいはい分かりましたすぐ行きますよ!」と、勢いよくいってケータイの電源を切る。美人な顔をにがーい顔に染めて、「ごめん、生徒会」とだけいった。

敢えてここに追記しておくと、乱菊姉さんは、私の二つ年上だ。私が高校一年生。姉さんが高校三年生。学校は違うから、よく分からないけど、姉さんは生徒会、というものに所属しているらしい。
私は苦い顔の姉さんを見て、おもわずぷ、と笑ってしまった。それと一緒に、「はいはい行ってらっしゃい。日番谷会長によろしくね」「あれ、知ってんの?」「さっき聞こえた」


しょんぼり顔の乱菊姉さんをバイバイと見送りながら思う。


(……日番谷会長って、怖い人なのかなぁ)




1000のお題【42 勘弁してください・・・】


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2007.08.11