| 今日も今日とて。いらっしゃいませー 第4話 冷却にフリーズン 乱菊姉さんから、「好きなんでしょー?」とかいわれてから、これぐらいの時間になると、ちらちらと時計を見てしまう。どっぷりと暮れたコンビニの窓の外に、あ、そろそろかなー…早く来ないかなー…………ちょっと待った! ちがうちがう。あの銀髪さんは、ただのお客さんな訳であって、私には全然関係ないんだから(まったく。乱菊姉さんのおかげで、変な事考えちゃう)………ちらっ、まだかなー。 いやいやいや、ストップわたし! ああっと頭を抱えそうになっていると、すみません、とお客さんに声を掛けられた。あ、すみません。お客さんは手にある商品をこん、と音をたててレジに置く。それを私はぴっぴっとスキャンする。「お買いあげ、ありがとうございましたー」 ほんの少しの人が残る店内に、こっそりとため息をついた(流石におおっぴらには出来ない)時計を見ないように、と考えれば考えるほど、イライラする。むしゃくしゃする。 なんだか胸の奥の方で、バタバタ何かが暴れそうで、思わずぎゅ、と手を握る(ちがう、んだから) ちらりと。別に、特に意識した訳じゃないけれど、ちらりと。思わず見てしまった自動ドア。真っ暗中に、きらっとほんの少し光る光に、「あ」と、私は、私にしか聞こえないくらいの、小さな声を上げた(銀髪、さん)(頭の中で、は惚れたのね! と嬉しそうに笑う乱菊姉さんが見える) 違うのよ、と唇をぎゅ、と噛んで、いらっしゃいませの準備をする。 がーっ、と何度も耳にした音を聞いて、「いらっしゃ、」 「シロちゃんってば、待ってよはやいー」 「うるせぇよ」 小さな、とっても可愛い女の子が、後ろにちょこり。何で気づかなかったんだろう。 (シロちゃんって、名前なんだ) 鬱陶しそうに、目を細める彼は、いつもつん、とすました顔の彼とは全然違う。(『私、あの子の名前も性格も、何も知らないんだよ』) 初めて名前が分かった、と思って、どきっ、とする心臓とは反対に、何かが、すーと冷えていくのを感じる。あ、彼女さんだ。 (ほらね、やっぱりテレビの中の人を好きになるもんだったんだよ) 「い、いらっしゃいませー」 (分かってたのに、なんで張り付いた笑顔のように、) 1000のお題 【856 だから言ったじゃないか】 TOP 2007.12.11 |