「いやーすみませーん、日番谷かいちょー」
(一回コイツの脳みそがどうなっているのか見学したところだ)


日番谷視点で、第3話   人それぞれです




目の前で悪びれもなく、アハハハハ! と笑う副会長に、思わず勢い余って机をぶったたいた。例えコイツが俺の一学年上だったとしても、生徒会室、とかかったプレートの部屋に居る限り、俺の方が立場が上だ。何をいいたいかというと、別に俺を敬えといっている訳ではない。せめて、必要最低限の(副会長なら副会長らしく!)仕事をして欲しいってもんだ。

狭苦しい、無駄に資料が乱雑に置かれた部屋で、唯でさえ苛つくのに(ぶっちゃけ、この副会長が毎回毎回毎回毎回! 資料を配られる度にそこら辺に放り投げる所為だがな!)それ以上に、コイツは苛立たせてくれる。俺の胃に穴が開いたらどうするんだ。この頃マジでキリキリ嫌な音がするんだよな!

「で、会長。何のご用で?」
「ご用じゃねぇよ。今日は休みだけど活動するっつったろ」
「だって私いても意味ないですしー」
「部活予算担当はお前だろうガァアアァアア!!!」

あ、そうでしたぁー! てへ。なんていいながら、頭をぽかりと叩くコイツを見ていたら、女って全部がこうなのか。もうダメだ、さんがこんなのと同類と考えたら、キリキリと嫌な音が耳の奥から聞こえたような気がした(……ダメだ、さんがこんな、ヤツだったら、俺は)(そんなバカなそんなバカな)(安心しろ俺、さんはこんなヤツと血が一滴も繋がっていないに違いない!)


色々と泣きたくなるような気持ちを抑えて、ちらりとまたコイツを見た。…あのな、俺敢えてツッコまなかったんだがな、

「………なんでお前、私服なんだ?(もう俺泣くぞ)」
「だって私、のトコに居たんですもん」
「(何がもん、だよ)……?」
「私のイトコです」
「聞き慣れない名前だな」
「他のガッコですから」

へぇ。と軽く流しながら、まぁコイツのイトコなんだからおしとやかの、おの字もない女なんだろう。さんとは大違いだ、と頭の隅っこで思った。

「そのがですね、恋をしてるそうで」
「ふぅん(激しくどうでもいいな)」
「でも自分じゃ違うっていうんですよ。芸能人に憧れてるようなもんだって」

トントントン、と資料を整理して、ホッチキスでパチン、と止めた。それだけいうと、一つの机に何個もぎゅうぎゅうに押し詰められた椅子へと座る。ギシッとした音がして、たてた肘の手のひらに、頬を当てる。ふう、と一回吐いたため息に、俺も一緒にため息を吐きたくなった。いつもの俺なら、さっさと取りかかれと、声の一つも掛けるところだろうが、松本の発言が、案外頭の中でぐるりと回る。

(芸能人に…ねぇ)
俺は思わず、さんの事を考えてしまった。
まぁ、芸能人に、憧れてるような、ああ確かにそうかもしれない。もう一つの書類をとって、またパチン、とホッチキスでとめる。妙に乾いた音が響いた。

俺も、そうなんだろうか、なぁどうなんだよ、というように、またパチン、と音をさせた。考えると、ドキドキする。会いたいと思う。…けれども俺は彼女の性格も、何も知らない訳で。
(けど、テレビの中の存在よりは、近くにいる)

四度目の、パチン、と音がしたとき、ぽろりと思った。

「…自分がそうだってんなら、そうなんじゃねぇの」
「は?」
「あ、あれだ、さっきのお前のイトコの話だよ!」


松本が、でかい目を、もっとでかくさせて、こっちを見た。(やっべ)思わずボトリと落としたホッチキスと数枚の紙を、俺は慌てて拾って、適当に言葉をのせた。すると、松本が、「そうですねぇ」といった後に、「ま、自分にしかわかんないんですし」(そうだよ、自分にしかわかんねぇんだよ)(俺が好きだって思ったら、好きなんだよ)

ごほん、と一つした咳払いに、何故かニヤニヤとしている松本を見た。…なんだよコイツ、と思ったら「…会長恋の一つでもしてるんですか?」「…バ、ちげーよ!」「うちのとか、紹介しましょーか。かわいいですよ」「いいっつーの!(俺にゃさんがいるからな!)」

チッ! と舌打ちして、さっさと仕事しろ! と叫ぶと、はーい、と間の抜けた声がした。




1000のお題 【904 忙しいんだ後にしろ!】



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2007.08.17