「このごろシロちゃん、どこ行ってるの?」


日番谷視点で、第4話   ふいふい金魚





一応向かいの家に住む(に言う幼馴染みの関係だ)雛森桃は、こくん、と首を傾げながら俺へと向き合った。    どこ行ってるの。そんなの決まってる(コンビニだっつの)
素直に答えるのも、どこか癪な訳で、「チッ」と舌打ちした後に「いい加減シロちゃんはやめろよ」「答えになってないよー」 チッ! 

「だいたいお前はいつまで人の家にいるつもりだ」
「今日はね、おばさんが泊まっていきなさいって」
「向かいだろ。帰れよ」
「おばさんのお料理おいしいよねー」


俺のいう台詞なんて、てんで耳に入ってないらしい雛森は、他のうちよりも比較的早くに出されたこたつの中に入り込んで、「うわー、ぬくぬくだー」 ホント聞いちゃいねぇ!

なんだかんだいいつつ、俺だって寒いのはあまり得意ではない訳で、雛森と似たような格好で、足をつっこむ(………確かにぬくい)
壁に掛けられた時計は、三時のおやつの時間と、反対を指す(そろそろだな) よいしょと抜け出して、財布の中身を確認した。

「シロちゃーん、どこ行くのってば」
「……コンビニだよ、コンビニ」
「あ、私も行く」
「は、なんでだよ」
「肉まん食べたいなぁー」
「…………買ってきてやるよ」


ガラにもない言葉を出した事に、ほんの少し後悔した。雛森が、いつもはパッチリとでかい目を、ほぞぼそとさせて、「シロちゃん、あやしい」 ………怪しくねぇよ、全然。
ほんの少し駆け足で、上着を着る。「あやしい」マフラーを口元に巻いた「………すっごい、あやしい」


「じゃあな、行ってくっからおとなしくしとけよ」
「シロちゃん、やっぱり私も      
「絶対来んな」


力一杯しめた扉の前で、一つため息を吐いた。もし、雛森が来たら、と大してたくましくもない想像力を張り巡らせて、(さんに、付き合ってるとでも勘違いされたら、最悪だ) そんな訳、ないんだろうけど。

はああ、と口から出したため息は、真っ白になって、空へと登った。(そんな訳、ないんだろうけど)
踏み出した一歩の中で、俺は今、途方もない恋愛、というものをしているんだな、と呟いた言葉は、誰にも聞こえる事がなく。
(バカバカしいな、俺)


「シロちゃん待ってってば、私もいくー!」


どっぷりと静まった街の中で響いた声に、現実に戻された。
(だから、来んなっつの!)




1000のお題 【233 煙に巻かれる】


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2007.01.29