「ちくさくんちくさくん、凄いもの発見しちゃったよ!」



じゃじゃーん。(ててれってってれー)





どこか興奮気味のさんは、両手を自分の背中へと隠して、俺の視界から何かを隠すようにしていた。そうそう凄いもの見つけちゃったのすれは凄いでも俺にはどうでもいいからあっち行ってくれないかな、めんどいから。そんな気持ちをこめて、にゃー、とは鳴かなかった。どうせわめいた所でさんは俺の意見を変に曲解するに決まってる。

『まぁあ! お宅のわんちゃん可愛いですこと!』

そんな声を聞きながら見てみると、俺の指先から肘くらいまでのサイズをした犬が、とても熱そうな表情で、無理矢理毛皮の上から着せられた服と、無理矢理だっこされた格好で笑うご婦人を見つつ、『くうん』と鳴いていたのを思い出した。
その後井戸端会議なのか何か、『あらあら喜んでるわね』とか意味の分からない解釈をした飼い主がさんとピッタリイメージが重なる。さんもしかして分身の術とか使えない? めんどいけど。


「ちくさくん、見てびっくりするよう、びっくりするよう」


びっくりでもなんでもしてあげるからさっさとご飯を出してくれないかな。ぐうぐうなる情けないメロディーが耳につくんだけど。猫でもやっぱりお腹はなるらしい。
「あのねあのね」 背中に回した手のまま、俺の周りをぐるぐると回って、最後にさんが、「じゃーん!」といって、何か、びしっ


それはよく見るとふさふさしていた。さきっちょだけ。さんが持つ部分はすーっ、と細くて、俺はそれを道ばたかどこかで見た事がある。そしてその名前も知っている。取りあえず日本じゃとってもポピュラーな雑草なんじゃないの、たぶん。俺日本人じゃないからわからないけどめんどいよ。

「ちくさくんちくさくん、どうどうどう?」


ぴろぴろぴろ。さんがさきっちょを振る度に、ふさふさした部分が細かくゆれる。俺の鼻がひくひくする。………なんださんそんな猫だましに俺がひっかかると思ってるのなにそれ俺はそんじょそこらの猫じゃないんだよ舐めないでよ。

「にゃーにゃーにゃー!」


そんな事を思いつつも、しっかりと仁王立ちしてしゃかしゃか爪をひっかくようなポーズをする自分が許せない。ちくしょう一生懸命遊んでるからって楽しんでると思うなよ。

「やっぱり猫じゃらしって猫ちゃんたちの大スターなんだね!」




なんていうのこういうの、日本語で。
諧謔的、ちがう屈辱的!



1000のお題 【908 悲しき性(サガ)】





2008.06.15