ソルが家に泊まる事になった。 ![]() 「冬休みの間だけ、学校の友達を泊まらせてやってくれ」と頼むと、案外簡単に、いいわよとの母は頷いた。そして、すっかり乾いたソルの髪の毛を見た後に、「あら、その服うちの息子と同じ、おそろいね」とが貸した服を見て、そういった。 「布団俺の隣に並べるぞ。狭くても文句いうな」 「ん、おう」 「寝るぞ、さっさと潜り込め」 立ち上がり、電気のひもをひっぱると、パチン、と軽い音がして、部屋が黒い色に包まれる。慣れた様子では布団の中に潜り込み、そのまま寝ようと瞳を閉じたときだった。 「お前って、意外と親切だよな」 聞こえたソルの声に、意外とはなんだと声を荒げようと思ったが、もう夜だ。「うっせ」、と隣の布団に寝っ転がるソルの腹を思いっきり蹴ってやると、意外と彼の体に筋肉がついている事が分かった。ひょろい外見のくせに、こっちの方が意外だ。 「いっとくけどな、別にお前の異世界とか、なんとか、俺は信じてないからな」 「ああ」 「信じる信じない以前の問題なんだからな、これは」 「そんなもんか」 「そうだ。人捜しとかなんとか、バカな事いってる家出少年をほっとく程酷い人間じゃないんだからな、俺は」 「そうか」 「さっさと探して、家に帰れ」 「おう」 ごそりと、身じろぎする音が聞こえた。そのままも布団の深くへと潜りこむと、くぐもったような小さな声が聞こえた。「あのさ」「なんだよ、また」 「今更なんだけどさ、お前の名前なんだっけ」 それは本当に今更だ。バカじゃないか! といおうとして、そういえば自分は、彼に未だに名乗っていない事を思い出した。不審者に自分の名前を教えるほど、彼はバカではなかったのだ。 「。名前が、名字が」 「じゃあでいいか」 「別に」 ソルの名字ってなんなわけ? 聞いたそのとき、静かな寝息が聞こえた。 バカバカしいと、も重い瞳を閉じた。 1000のお題 【147 話の腰を折る】 BACK TOP NEXT 2008.08.12 |