朝起きると、ソルがぼうっと窓の外を見詰めていた。



 少年は焦る



二人で食べてねと書かれた書き置きに、寝ぼけた頭では食器にみそ汁をよそった。ついでにご飯もよそって、納豆も付けた。生卵もつけてやった。「おらソル朝飯だぞ」とどがんと食卓の上へとそいつを見せると、彼はだらだらと冷や汗をかいていた。

、なんだかねばねばしてるぞ」
「納豆がねばねばしてなくてどうする」
「俺はこんな物体は見たことない」
「そうか初めての体験おめでとう」

めんどくさいので箸を彼の前へと置くと、は無言で朝ご飯を食い始めた。黙々、黙々。これ以上グダグダ何かいう気なら、人様の家に来て飯を食べるんだから文句をいうなと一喝する準備をして、ずるずるとみそ汁を啜る。
目の前ではカチャカチャカチャカチャと食器をすり合わせる音しかない。

「人様の家に来て飯を食べるんだから文句をいうな!」
「い、いや違う」


何が違うんだとそいつの手元を見てみると、二本の箸をまるでナイフとフォークのように一本ずつに分けて、泣きそうな顔でみそ汁をつついていたソルがいた。

「………フォークでいいか」
「………スプーンも、つけてくれ」



1000のお題 【367 味噌汁で顔を洗う】




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2008.08.12