※ トリップ主人公 → ピカチュウになる。ポケスペのグリーンにするかハートゴールドあたりのグリーンにするかものすごく迷いまくったあげくハートゴールドなグリーンでいきます。
しかしイーブイはいる。
グリーンさんにもえたぎってきただけなので深いところ気にしない。オリジナル要素が多い。そしてうちのレッドさんはなんか不思議っこ。


【さらばニンゲンぴっぴかちゅう】



目が覚めたら不思議な物体になっていた。「……ピッ、ピカッ!?」 なんじゃこりゃー! という叫びの代わりに聞こえた声は私の声だ。手のひらを凝視してみると、黄色くちっちゃなおててで目の端ふらふら動く黄色い物体に、なんじゃこりゃあと追ってみた。

追えども追えども、いくらくるくるし続けても一向に捕まることのないそれにちょいんちょいんと頭の中でクエスチョンマークを浮かべてみるものの、おかしい、なんだかこういう格好、私はどこかで見たことがある、そう、自分の尻尾をくるくる追い続けるどこぞのワンコ……!

「ぴぴぴぴかー!?」

まさかこの黄色いギザギザ、私の尻尾でござりましょうか! なんてこったとぺこたん地面にお尻をつけて、バタバタ手足を泳がしてみる。見上げる空は青く、うっそうと生える木々の影の中で顔をこしこし両手でこする。夢じゃない。夢オチとかではない。さらばニンゲン、ぴっぴかちゅう。このまま私は大自然の中に帰ってしまわなければならないのだろうか。

色々悲しい想像をしたものの、どう考えてもこの先待ち受けるは死のみである。というかこの黄色い物体、一体何を食べればいいのだろう。草食ならラッキーだけど肉食だったらどうしよう。「ぴーかー……」 悲しい気持ちで叫んでみたものの、出てくる声はおまぬけな鳴き声だ。地球上の生物で、こんな奇天烈な鳴き声をする物体があったろうか。わからない。勉強不足でした。

もう一回悲しさのあまりに「ぴーかー……」と泣き叫ぶと、ふいに近くで足音が聞こえた。「あれっ。めずらしーなー、ピカチュウじゃん」 そう言って、茶色い髪の青年は私の脇辺りを持ちあげて、高い高いをしたのだった。「ぴっかちゅー?」




私はピカチュウという種類らしい。そう言えば鳴き声がぴっぴかちゅう。とか納得している場合ではない。めずらしーなーめずらしーなーそんじゃまたなー。と手を振ってばいばいしようとしている青年の足へとがっつりはりつき、いいやこんなところで一人、いいや一匹になってなるものか……! と私は根性をむき出しにさせていただいた。

「うわっ、なんなんだよ!」とびっくりしていた青年も、気の所為か私のほっぺたがぴりぴりしだした辺りから、「落ちついてくださいピカチュウさん連れて行きます連れて行きますから!」と私の言いたいことを拾ってくれたらしい。おおお、この兄ちゃん、いいやつだ!



「俺さー、ピカチュウはさー、ゲットしねーって心に決めてるの? わかる?」
「ぴっぴかちゅう」
「なんでかってーとさー、キャラがかぶるじゃん? ポケモンでキャラかぶるってのも変だけど、こうなんつーか」
「ぴかぴか」
「プライド? なんかそういうのかちくちくと」
「ぴーかー」
「お前相槌うつの上手だな」

よしよし。なんてなでられてちょこっと嬉しい気持ちになったものの、お兄さんは「そういう訳で」と私の首根っこを掴んでカラカラと窓を開けた。そしてぽいっと放り投げようとしたところを野生のパワーでくるりと反転し、お兄さんの腕にひっつく。「うおおー!?」 うおおお。

諦めたお兄さんはそのまますごすごソファーへかえった。どすーんと私を腕にくっつけたまま沈みこんだお兄さんは「ハー……」と長いため息をついて、「いっとくけどな、ホントゲットはしねーから。いいかー、しねーから。あーもー、グリーンさんモテモテで困っちまうわー」「ぴっぴかちゅう」「相槌ありがとうございます」




この世界にはポケモンというものが溢れているらしい。私を拾ってくれたお兄さんはどこぞのジムリーダーというやつで、ポケモン同士を争わせて戦わせるトップに立っているようなお人なのだ、と気づいてしまったときはブルブル身震い、まさかの身の危険を感じてしまったものの、いまのところその危険性はないようだ。

取りあえず目下の対策はそんなところではなく、「ほらピカチュウ、めしだぞめし」 コトン、と置かれたワンコのご飯用の入れ物の中に積まれた茶色いつぶつぶのご飯だった。「ぴっぴかちゅう……」


お兄さん、すみません。お家を貸してもらい、その上かつご飯を頂いているという分際でありながらも、私は思うのです。これドックフードじゃないですか! 食べれないって! え? ポケモンフード!? 何それ名前が変わっただけじゃない!「ぴーかー!」 ぷいーんと顔を背けると、「な、ンだこのピカチュウ俺のポケモンフードが食べれないだと……!?」 食べられないです。「ぴーかぴか」


案外食べてみるとおいしいぜ? というように、コリコリご飯を食べている茶色いふさふさワンコ(のようなポケモンだけど超かわいい)のふりふり振られるクリーム色のしっぽを見つめつつ、いいやこれは食べてしまうと負ける、そう人間のプライドまでどこかにぶっとんでしまいそうな気がする、とごくりと唾を飲み込み、黄色い尻尾をふりふりして勘弁してください。と頭を下げた。

茶髪のお兄さんは「あー、野生が長い奴ってポケモンフード嫌いなんだよなー」と呟いて頭をかりこりひっかくと、そのまま背中を向けて消えてしまう。(あ、これは) 捨てられるフラグだ。

我がままなんて言わなきゃよかった、と恐る恐る茶色い粒に顔を向けて、あんぐりお口を開けてみた。(そうだよ食べなきゃ生きていけない)これがこの世界の生き物たちが食べるものとならばしょうがない。食べよう。おいしく頂いてやろう。そしてお兄さんにごめんなせぇと頭を下げよう。
ぎゅっと一粒ポケモンフードを握りしめ、カッ! と瞳に光を宿らせる。

「ぴぴぴ、ぴかー!!」
えいらっしゃー!

がぶっ「ぴかっ」 くそまずっ

あまりのまずさに尻尾をぷるぷるさせながら部屋の端っこで丸まって、こんなものを食べないと生きていけない世界など、なんと過酷なことか。とほろほろ涙を流していると、「おーいピカチュウ?」とお兄さんがちょいちょいと私の背中を人差し指でつついてきた。「ぴーか?」 なんすか? というように顔を上げると、お兄さんの手にはお皿の上に、うさぎさんのようなリンゴが並べられていて、いやあ美味しそうですなぁ、とじゅるりとしていると、お兄さんはお皿をコトリと静かにカーペットの上に置いた。

「ほら姉ちゃんが切ってくれたからさ。これならいいだろ?」

言っている意味がよくわからなくて尻尾をふらふらさせていると、「なんだこれでも駄目なのか?」とお兄さんは不満げな声を出してお皿へと手を伸ばす。とられる! 反射的にそう思った私は体をスライディングさせお兄さんのリンゴの中につっこんだ。「ぴーかー!」「うおおお捨て身タックルー!!」

リンゴを両手で持ちつつしゃくしゃく幸せに頂いていると、「グルメなピカチュウだなあ、なー、イーブイ」とワンコのようなポケモンの頭をお兄さんはよしよしとなでていた。「ぴゃー?」



お兄さんは忙しい人らしい。「グリーンさーん、ジムの方で挑戦者がやってきましたよー」「おー、今行くー」というように、はい休憩だ、というときでも即座にさっさかどこかへ消えてしまう。そしてお兄さん、お名前はグリーンさんというらしい。なんとも横文字なお人だ。

夜になって戻ってきて、ぼふんとベッドに戻った後、はふー、と疲れたような声を出す。おっこらせ、おっこらせ、とベッドの上へとのぼってお兄さんの背中の上に乗っかった。「ぐえー」「ぴっかぴかー」「つぶす気かー」

お疲れ様でした。グリーンさん、という気持ちをこめて、そのままどすどす足を動かしてみた。「おっ、おっ、おっ、もーちょい上、上、そこそこそこ」「ぴかぴか」 ピカチュウマッサージである。

「うはー……きんもちいー」

と呟いたグリーンさんは、ふと言葉を止めた。そしてぼそりと、「会いに行こうかなぁ」と呟いた。
誰に?





どういうことだろう。私はまっぱな格好のままグリーンさんのベッドの上にねっ転がっていた。もちろんいつもはピカチュウなので、デフォルトが裸だ。しかしながらこれはよくない。
なんてったって人間である。「〜〜〜〜!!!」 私は声にならない声を上げながら、これはとてもまずい状況だと叫び続ける心の警鐘がなる音に気付いた。やばすぎる。
人間に戻れたことを喜ぶ気持ちよりも、だらだら流れる背中の冷や汗の方が気になる。


なんてったってそろそろグリーンさんが帰ってくる時間だ。

とりあえず服を探してこの家から逃げなければ! とグリーンさんのシーツをひっぺがして、申し訳ないです申し訳ないですと言い訳をしながら体に巻きつける。よし逃げよう! とドアを開けた瞬間、男の人にぶつかった。グリーンさんである。「…………あ?」「ひ、ひひゃっ、え、あ、」「あー!!!?」「はははは裸ですみませぇえええん!!!」 いやそういう問題じゃないか? まあいいか!


私はグリーンさんを突き飛ばして逃げてしまった。うあ、あ、ああーとどんどん視界が低くなって、頭の上にぱさりとシーツがのっかかる。そこをごそごそと通り抜けて顔を出すと、丁度グリーンさんが駆けつけて、「ピカチュウ今女の子見かけなかったか! 気の所為か服着てなかったんだけど意味わっかんねぇー!!」 

しししし知らないでぴかー、と首を振ると、グリーンさんはひょいと床に落っこちたシーツを拾って、「あっ、さっきのシーツ」と不思議そうな顔をした。混乱させてすみませんグリーンさんごめんねごめんね、と伝わりはしないけれど、両手を合わせてへこへこ頭を下げていると、「あ? なんだピカチュウ、俺を拝んでもしょうがねえぞ」と私の脇を持ちあげて首を傾げた。そしてその後、「あーまー、俺はモテモテだからファンの子が来たのかなぁ、俺って罪作りな男だなぁ」となんだか自分自身納得し始めたので、まあいいかと放置することにした。




「ほらピカチュウ」

グリーンさんは私の前に半分赤で半分白いボールを置いた。
なんすかこれは? とぴかぴか首を傾げると、「まあなんていうかな、お前との付き合いも長くなったし、ゲットしてやらんこともない」とグリーンさんは尊大に腕を組んだ。

ゲットというのはよくわからないけれど、ポケモン同士で戦う前の何らかの儀式なのだろうか。そのボールの中に色んなポケモンが入っていることは知っているけれど、私は思わず後ずさった。
ぶっちゃけポケモンと戦うのは嫌だ。そんなことをしたくないし、そのボールの中に入ってしまうのも怖い。「ぴーかー……」「え? 嫌なのか? お前」「ぴーかちゅー」 

ごめんなさいグリーンさん、と心の中でいくら伝えても彼に伝わる訳はない。 まあそんならしゃーねーな、と頭をひっかくグリーンさんを見て、ちがうよ、あなたのことが嫌いだからなんじゃないよ。と心の中が苦しい気持ちでいっぱいになった。寧ろ大好きだ。感謝もしてる。大好きだ。私の気持ちがあの人に伝わればいいのにと思っても、こんなぴかぴかしかしゃべらない口じゃ何も伝えることができない。
(人間だったらいいのになぁ)




「だからってなんでまた裸かな……」

しくしく廊下で涙を流している場合ではない。ええとええと、ここから近い場所はと頭の中を回転させて手洗い場へと飛び込んだ。確かここの下にタオルがあるはず、今日はグリーンさんのお姉さんがいなくて本当によかったです! と胸をなでおろしつつ取りあえず体にタオルをまく。これでギリ……いやアウトですよね! 人様のお家でバスタオル一枚はどう考えても犯罪臭が漂うよ!

取りあえず逃げなきゃ逃げなきゃと玄関に向かい走っているところ、「おーいピカチュウーメシもってきたぞー」といいつつりんごをつけもんだスーパーの袋を片手に持ったグリーンさんとはち合わせた。死にたい。

「ひ、ひ、ひゃ、う、わああああ」
「うおおおおおいつぞやの俺のファン!」
「違いますから!」
「えっ違うの」

そ、そうなのかー、とお互い微妙な距離をとりつつゴクリと唾を飲み込んだ。逃げないと。逃げないといけない。そうだ逃げろ! とグリーンさんとは反対方向に背中を向け、そしてまた再び彼に向き直る。

「あのっピカチュウですが!」
「え、あ、はい」
「グリーンさんのことが大好きだと思うのですよ! だから、嫌いだからゲットを嫌がったとか、そんな訳ではないのですよ!」
「はあ」
「それとっ」
「まだあるの!?」

「ピカチュウのお名前は、と言いまして、そう呼んであげたら喜ぶかもしれませんね!」
ではっ!

びしりと手の平を立てながら、リビングの扉を力いっぱいに開け、そして閉め駆ける。この間と同じくぐんぐん低くなる目線と、最後にぱさりと頭の上にタオルがのっかった。「ぴーかー」のそりと私がタオルの中から顔を出すのと、グリーンさんが慌てて扉を開けたのは同時だった。

「うおおお、ピカチュウ今女の子見なかったか! あー、またタオルだけ……」 つーことはあの子、今まっぱなのかねー……とグリーンさんは複雑な声を出しながらタオルをつかんだ。まあ一応まっぱではある。毛という服をまとってはいますが。


グリーンさんは眉を八の字にしたあと私を見た。そしてよしよしと頭をなでた。「よくわかんねーなー」「ぴかー」「やっぱり相槌うまいなあお前」



「ちょっとでかけてくるわ」

グリーンさんがひょいっと人差し指を中指を合わせてじゃーな! というポーズを作る。ボールの中から飛び出た大きな鳥……というかもう大きな鳥って言っていいレベルじゃないよね! というようなポケモンに乗っかった。そんなグリーンさんを見て、どこに行くんでぴかぴかー? と首を傾げると、グリーンさんはひょいとポケモンから飛び降りると、私の目線まで足を折って、「お前も一緒に来るか?」「ぴかー」


「言っとくけど寒いからなーこんなか入っとけよ」とグリーンさんの上着の中に体を入れさせてもらって、ひょっこり顔を出しながら地面を見つめる。ぐんぐん遠くなっていく景色とバサバサ羽ばたくポケモンの姿がかっこよくて、「ぴゃーあー!」 と変な声をあげてしまった。ぴかちゅうって以外も言えるらしい。ぴゃーあー!

どこに行くんだろう? とグリーンさんを見上げてみると、彼はどことなく嬉しそうでにこにこしていた。そして辺りはどんどん寒くなり、遠い山の上は白い帽子までかぶっていて、ありゃあ寒いだろうなあ、と考えていると、鳥ポケモンさんはそのお山へと進んでいく。まさかまさか。「うっしゃー! 待ってろよー! あのバトル馬鹿めー!」 目的地はまさかのあの場所でしょうか!



予想以上の寒さに「ちゃーああ……」と死にそうな声をあげてしまった。グリーンさんと言えば私を服のお腹に入れたまま、「はー、あったけー」とか満足げな声を出してざくざく雪の中を歩いていく。何故に。どなたがいらっしゃるのでしょうか。

こんなとこに誰がいるのー? おうちに帰りたいよう、とぴかぴか悲しくなっていると、ぽつりと赤い人影が雪の中に立っていた。「よぉーう! 元気してっかレッドくんよー!」

レッドと呼ばれた少年は緩慢な動作で振り向き、パチパチと瞬きを繰り返した。そして体も一緒に振り向いたとき、彼のお腹が妙にぷっくり膨らんでいることに気がついた。前を閉じるチャックの間から覗いたお顔は私と同じく黄色い。


同じくピカチュウをお腹に入れて暖をとっていたもの同士、じっと雪山の中で見つめった。「…………まねっこ」「ちっげー!!!」


このレッドという少年はグリーンさんの幼馴染らしい。洞窟の中でパチパチ焚き木を燃やしながら、「グリーン、ピカチュウゲットしたの、珍しい」と火の中に棒を一本投げ入れた。「いやゲットじゃねーよ。お前とかぶるから嫌なんだよ」「そう言ってたから珍しいって言ったんだけど」「そりゃあすみませんでしたね!!」

私はレッドさんのピカチュウと並びながら、ほほう私ってこんな顔をしているんだなぁ、と彼?(ピカチュウ)を眺めてみた。「ちゃーあ?」 か、かわいい……! こくんと傾げた首がとてもかわいい。なんてこった、私が人間ならこのピカチュウ、なでなでしまくってるぜ! なんて考えても今の私がピカチュウである。しょうがないので自分の頭をなでなでした後、ピカチュウくんの頭もなでなでさせていただいた。「ちゃー」 かわいい!

「うちのピカチュウと仲良しだね」
「まーな、うちのピカチュウは社交的だからな!」
「うちのピカチュウは可愛いけどね」
「うちのピカチュウも負けねーけどな!?」
「うちのピカチュウは」
「ええいピカチュウピカチュウややこしい!」

そんなこと言われてもなー、とレッドさんはぼんやりした表情のまま焚き火をひっかいて、「そっちのピカチュウ、名前かなんかないの」「え、あ、あー?」 グリーンさんは困ったような表情をしたあと、私の頭をよしよしとなでた。「って言うらしいけど」「なにその言い方」「俺のファン曰く」「ははは」「棒読みで笑うなよ」

「なー、
とグリーンさんは私の首元をちょいちょいとひっかいた。くすぐったい。

「……ふーん、ちゃんおいでよ」
「いかねーよお前はお前のピカチュウでぬくぬくしてろよ」
「ピカチュウ二匹でダブルぬくぬく」
「目のやり場に困るから絶対やめろ」

よっこらせっと、とグリーンさんの膝の上に乗っかって、何故だかじっとこちらを見つめているレッドさんと目線を合わせた。レッドさんはじーっと瞬きもすることなく自分の膝の上へといつの間にか乗せていたピカチュウの背中をよしよしして、「変だね」と呟く。「常に半そでなお前の方が変だけどな」「そのピカチュウ。ちゃん」「聞けよ。おい聞けよ」


「普通のピカチュウとちょっと違うね」
「可愛すぎるってことか」
「馬鹿じゃないの」


お前馬鹿って言う方が馬鹿だろとレッドさんの首を締め始めるグリーンを見つつ、私は背中の汗がタラタラ流れる音が聞こえた気がした。レッドさん雪山で半そでという不思議な格好をしている彼だがすごい。気の所為かあなたすごいですね。
「俺はほら、立派なピカチュニストだから」「いいいいい意味わかんねー!」


楽しそうだなぁー、と目を細めつつ、「ぴーかー」と言いながら彼らの争いから抜け出してきたレッドさんのピカチュウと一緒に、どっこいしょと岩の上に座りなおす。

「仲がいいねぇ」
と伝わるはずのない言葉を彼?(ピカチュウ)にかけると、ピカチュウは「ぴーかー」と気の所為か満足げに笑ってパタパタ尻尾を掘った。「まーね。あの人たちは昔っからあんなだよ。ま、このあとバトルだから俺もちょっくら準備体操してくるかな」


ぴっかぴっかぴっかぴっか。そんな足音が聞こえそうな感じで軽快に消えていくピカチュウのお尻を見送って、あ、あれ、あれ? 同じピカチュウだから? ピカチュウだから? 今なんか聞こえたよ? と私はきょときょと瞬きを繰り返して、ピカチュウさんワイルドっす、と「ぴーかー」とカクリと首を落とした。


続かない。



書きたいシーンは全部入れたのでおしまい。
ポケスペも普通のグリーンもいいなぁ、とはふーとため息つきそうです。小学生だった当時は「レッドかっこいい……けどグリーンもかっこいい……! ど、どうしたらいいの私……!!」とか漫画もってもだえ苦しんでた気がする。どうもしなくていいよ。

2011.02.28
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