ついったーでぽそっと管理人が変なことを呟いたことをきっかけに、「浮舟恋歌」「オノマトペ」の管理人様方と「おひざの上にトリップ」という共通お題でお話書いてみようか。ということで書いてみました。
ちなみに私に投げられた設定
>可愛い幼女>他人の髪を引っ張る癖がある>女の子の胸をもむ。>まっぱになる癖がある>ただし未成年なので靴下まで

ただし未成年なので靴下まで、という意味を、私が靴下のみを残してすっぽんぽん、という意味でとらえたので大変なことに。はいはい気にしない。問題ない。この設定をまとめあげる技量がなかったのでシーンのみ抽出させてもらいました。

名前変換はないぞねー。猫って呼ばれます。





■ おひざの上にトリップ

雲雀恭弥は冷たい目線で見下ろした。髪の毛が黒くってく丸まってて、そいつは大きなあくびをくあーっとした。猫みたいだ。でも猫じゃない。
なんか膝の上に奇妙な物体が乗っている。「くあー……」「きみ、なんな訳」

雲雀はそいつの首根っこを掴んでみた。持ち上がらない。猫じゃないから。でも体がちっちゃいので、ほんの少しだけ浮かんだ。「ここはどこー? あたしはだれー?」 開口一番の台詞に、雲雀はくしゃくしゃと顎をしゃくった後、考えた。

「知らない」
「だよねぇ」

どこかなぁ、どこかなぁ。と自身の膝の上で辺りを見回すお子ちゃまに咬みつく気も失せてしまって。雲雀はくあー、とあくびを一個した。うつったのかもしれない。女の子もくあーとあくびした。


■ 猫でいいじゃん



「猫って名前にした」
「猫って名前になった」
「委員長……」

草壁は口の中の草をかみしめた。草の味がする。だって草だもん。
自身の敬愛する委員長の隣では一人の幼女がビシリと屹立している。そして主張するように挙手をした。「何、猫」雲雀はじろりと幼女を見下ろす。「トイレ」「行ってきな」 うい、と幼女は頷き、とてとてと応接室から出て行ってしまう。

草壁は委員長の気に障らぬようにと尋ねる。

「あの、さっきの者は」
「ああ、猫のくせにトイレのしつけができていてよかったよ。ほめてやってもいい」
「いや、さっきのものは人間かと」
「僕が猫だと言ったら猫だろう」

何を当たり前な。
そんな瞳で見つめられた草壁はごくりと唾を飲み込んだ。なんと当たり前な……なんと当たり前な……なんと当たり前……? 当たり前……? 草壁は熟考した。「そうですね」そして我らが委員長に負けた。深く考えすぎてサンドバックになるのは多少困る。
噂の猫幼女は、それから作業に没頭すること数分後、てこてこてこ、と効果音を響かせながら帰って来た。「迷わなかったかい」そう言って彼女を見下ろし、首根っこをひっつかむ我らが委員長は多少犯罪臭いな、と草壁は思ったが目をつむった。もう何も見ないことにした。



それなのに。それなのに猫と呼ばれる少女はこちらへと走り寄ってくる。きっと気の所為だ。草壁は頷く。もう一度目をつむれば、どこか遠くへ消えているはず。ぐっと草を噛む。草の味がする。だって草だもん。そして目を開いた。目の前には好奇心旺盛なお子ちゃまが草壁の膝の上に乗っていた。「…………」「…………」 い、委員長ォ……!

我らが委員長へと助けを求めても、特に何の反応もなく、生徒名簿をぴらぴらとめくるばかりだ。委員長ォ……!
「……どいてくれないか」

子どもは好きだが、泣かれるばかりだ。目をらんらんと輝かせる彼女に、自分が同じく見つめてしまえばこんもり涙があふれて申し訳ない。草壁はそっと目をそらした。その瞬間だった。「お、お、ちょ、ま……!」「ぬける……これはぬける……ぬける……!!」
激しくリーゼントをつかみながらぐいぐい両手でひっぱる。意味がわからない。そう思いたいのに、草壁はなんとなく、彼女の心情を察してしまった。つんと飛び出るリーゼント。ひっぱれば、ぬけるかも。

「ぬけない!」
「ぬける!」
「ぬけてたまるか……!」
「草壁うるさい」
「も、申し訳ありません委員長!」
「ぬく!」

ぬけてたまるかー。
もう一回、草壁は力の限り叫んだ。


■ ごはん

「猫缶でいいよね」
「無茶いわないでー。ようじぎゃくにゃいで訴えるぞー」
「幼児虐待だね。猫缶でいいよね」
「元の話題にもどんないでー」

いやん、いやん、とばったんばったん暴れる少女、記憶がなく、気づいたら雲雀のおひざの上にいたという彼女はとりあえず雲雀の家で飼われている。昼間は学校についていく。さすがに幼女をぶんなぐるのはいささか萎えるよね、と雲雀が判断した結果、一度もぶんなぐり咬みつきの被害にはあっていない。よかったよかった。
そして本日の問題はご飯にある。

「いいかい猫。人間を育てるということにはとてもお金がいるんだ。僕はお金はあるが君にそれを投資しようというほど暇人じゃない。わかった?」
「わかんないよー! 訴えるぞー! それでなんでにゃんにゃんなんだよぉー!」

ばったんばったん雲雀宅のソファーにて暴れる子どもを、雲雀は首根っこを掴んで持ち上げる。にゃーん。お尻に尻尾が見えてへたへたと力なく揺れている気がする。「猫缶なら多少安くなるかなと。まぁ近頃の猫缶は高いからそれも却下にしようか」「おう! のう!なにをたべて生きていけとー!?」

しんじゃうー! しんじゃうにゃんー! と首根っこを掴まれながら暴れる幼女に雲雀は眉をひそめ考えてみた。ごはん……ごはん……ごはん。「ああ、あれにしようか」 雲雀名案。



「…………」「…………」「…………」


家庭科室の中は沈黙で塗りつぶされた。固まった彼らの手の中から、ほかほかと立ち上る湯気が対照的である。体感気温はとても寒い。「…………おい」その中で、銀髪タコヘッドは代表した。獄寺である。「それ、なんだ」 無敵素敵な風紀委員長の首根っこにひっつかまえられた物体に指をさす。ちなみに獄寺のエプロンはピンクのふりふりだった。

「きみ、そのピンクのふりふりエプロンはきみのものじゃないね。調理実習をあることを忘れ、誰かに貸してもらったんだろう。罰として咬み殺してあげよう」
「うううううるせえええええ! ふりふりとかいうなこのやろおおおおお!!!!」
「獄寺くん爆弾はだめだよだめだよホントに駄目だよ!?」
「止めないでください十代目! 今日と言う今日はこいつをぶっとばす!」
「それで君たち」
「俺を無視して進めんなこのクソすずめー!!」

きゅるるるる

ははは獄寺落ちつけよと後ろから彼をはかいじめにする山本のエプロンは水色さわやか。そんな彼がきゅるるる、という不思議な音を耳にとめた。発生源は雲雀のお隣。そう、彼がこの家庭科室にやってきたということと、その手に握られたミスマッチな物体にも、みんな言葉を飲み込んでいたのだ。

山本は獄寺を放すと、手に持つおにぎりを抱えた。そして小さな少女へと、雲雀の隣へと向かう。「くうか?」 にかっ
爽やかフェイス。

「ん! ん! ん!」

少女は何度も頷いてがつがつ山本のおにぎりをたいらげる。けぷっ、と最後にげっぷを一つ。「いいくいっぷりだなぁ」よしよし、と山本に頭をなでなで。草食動物が群れていて不快だ、と言い残した雲雀が消えたこともあってか、生徒がわっと少女に群がった。ぐいぐい口の中におにぎりをつっこまれつつ、かわいいかわいい。なんて頭をなでられ。女の子にもみくちゃにされつつ、幼女はうにうにと頭を動かす。もにもに。柔らかいものが頭に当たりました。自分を触ってみる。つるつるぺたぺた。

もにもに。他の女の子をなんとなくもんでみる。「…………なにするの!?」「おっきくなるもん」 だから今はお米をいっぱい食べるもん。



■ もえる?



「猫、食事程度で全てを解決できたと思うのは大間違いだよ」
「大間違いですね!」

少女は現在とある危機にひんしていた。くんくんと洋服に鼻を寄せてみる。「くちゃい」だって一張羅。他に代えなどありはしない。「くちゃい」もう一回、現実を忘れるように少女は呟いた。「学校の備品室からSSサイズの体操服でもとってこようか」「はんざいしゅうが、ただいよいます!」それはだめだめ、いやんいやん。

こうなったら、と彼女はすっくと立ち上がった。すっぽーん! そして力強く、脱ぎ捨てた。全裸一丁【*ただし未成年なので靴下は装着】、桃色オケツを雲雀に見せ、堂々と仁王立ちする少女に、雲雀はぴらぴら手元の雑誌を見ながら「寒くないの」と結構常識的な呟きをもらす。

「さむい! しかし! くちゃい!」
「靴下がある意味は」
「みせいねんだから、全裸はよくないって思ったの!」
これぞ半裸!

そう主張する幼女に、まぁ本人がいいならいいんじゃない……と雲雀は適当にテレビをつけた。全裸【*本人いわく半裸】な幼女がちょこんと雲雀の膝の上に移動した。そこはかとなく、危ない匂いがただようが、雲雀は気にせず火曜サスペンスに夢中だ。「ひばさんひばさん」ちょいちょい、と幼女が雲雀の裾をつかんだ。「なに」

「もえる?」
もえもえ


雲雀は少女を見下ろした。そして無表情なまま「猫の全裸に何を萌えろって?」「全裸じゃないもん、半裸だもん!」「あと5、6年してから出直しな」

返事のかわりに、くちゅん、と少女はくしゃみを一つ。
「寒いんなら僕の服でも着とけば」
「そうしようかにゃくちゅん」


2011.01.31
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変態幼女で投げかけられた設定……わたしには……かけなかった……OTZ