「アアアアアア生徒かいちょぉおおおおおおお!」


こんにちは、石川透の親友です。



「え? 誰?」
「誰?」
「わかんないわ、宮村知ってる?」
「……知ってる! ような気がする!」
「ああ知らないのねもういいわ。ちょっと仙石」
「だから知らないって指ゴキゴキやめてよ!」

果てしなく疎外感を得るような気持ちになりながらも、俺はクラスの面々を見つめた。取りあえず赤い頭が生徒会長でピンク少女が美少女ということは分かる。あれ、生徒会長ってうちのクラス? クラスなの? ときょときょとしつつ背中の鞄をぎゅっと握った。久しぶりの登校だからボケてるかもしれない。

茶髪のギャルさん(気の所為か見たことがある気がする)がにっこり笑った。思わず俺もにっこり笑い返した。「クラス、間違えてるんじゃない? ここ一組よ」 そしてやんわり拒絶された。「あ、いえ、間違ってないっす……多分……」 アン? という顔をする彼らを見て、俺はとても悲しくなってきた。と言うか一度は会ったことがあるはずなのに、こんなにのスルーはむなしい。「あ、あのー、俺ー」 なんとなく口をもごもごさせて、ベットの中で何度も考えた自己紹介を口にする

「俺、って言って」
「あれ、、今日からだっけ」

やってきたのは紫髪。「うおおおおおトオルゥー!!!」「「「「抱きついた!?」」」」



「はじめましてー、でっす。ちょっと暫く長期入院してました。トオルと中学同級生です!」
「ちなみに入院してたっつってもアレだから、最初は盲腸だったけど、退院した日にバイクでひかれて、治った翌日にトラックにはねられただけだから。ある意味頑丈だから」
「そうそう、俺ってばthe☆不運な男!」

えー、大変だったねー、と黒髪の男の子がぼえーっと首を傾げていた。なんだっけ、こいつ名前なんだっけ、と思いつつも、まったく分からない。生徒会長が、「そう言えばそんな生徒がいたなぁ」とうーん、と腕を傾げていた。「いたわね、。出席で毎回バツの」 茶髪のギャル少女にてへてへてへー、と頭をひっかく。なんだか恥ずかしい。

しかしこの茶髪の人、どこかで見たことがあるよなぁ、とトオルを確認してみた。トオルは俺を見て、首を傾げた。ところでこの親友、親友の退院日くらい覚えといてくんねーか、と泣きそうである。最初のころは毎日のように来てくれてたくせに。いや黙々と涙してただけだけど 「あ、思い出した」

「トオルの片想いの堀さんだ」
よろしくー

へらーっと笑いつつ、右手を出すと、堀さんは曖昧に笑った。そして相変わらず名前が思い出せない黒髪くんも分かってしまった。「そんで堀さんと付き合ってる宮村くんな、こっちもよろしくー」 そして左手を出してみる。宮村くんはほえっと笑いながら俺の手を握る。

右手に堀さん、左手に宮村くんをぎゅっぎゅとして満足げに笑っているところを、唐突にぐぎゃっと首を絞められた。「おい親友」「なにかなトオル」「あまりの恥ずかしさに屋上ダイビングするぞ」「俺も付き合うよ親友」


「なんだか変な人ねー」とピンク美少女がパチパチ瞬きをして、「石川くんの親友なのになぁ」と生徒会長が腕組をしている。ハッハッハッハー、と思わず高笑いをしているときに、ガラガラ勢いよくドアが滑った。「ちゃおーす! 今日も元気うらァアアアア!? 何してんの!?」


井浦くんお久っすー! っていうかきみクラス違ったよねー、と言う俺の声はトオルの「さっさと堀の手を離せぇええー!」という叫び声に消えた。



「ところでお前もしかしなくとも留年決定だよな」
「……アッ、そ、それは言わないで……!」



2011.02.21
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シリーズだから続くんだろうけど一体いつ続くんだろうと自分自身わからない