二回目更新。
こういうツッキー話を読みたい書きたい。
はいきゅー月島
1話目なので夢主まったく出てない。
「でっけー……」
一瞬聞こえた声はそのまま無視した。ジャイアント、と呟くお子様の声が聞こえる。まあでかいし。(ヘッドホン忘れた) いつもならかちゃんと首にひっかけてるのに、なんだか違和感があってすーすーする。(まあ、でかいし?)
人様よりも、目線が高い。そういう血筋なんだろう。ひょい、と足を一歩踏み出した。でかいというよか、長い。よく言われる。どれくらいかというと、名前、なんて呼ぶの、と聞かれる次くらいに。高い方がいいとは言うが、高すぎてもいいことは若干少ない。でも別にコンプレックスを持っている訳でもなく、僕は僕というそれだけの話だ。
『ごめん、ツッキー、寝坊した!』
先いってて、と携帯の中で必死な顔文字が叫んでいる。ふう、と口から息を吐き出して、山口に馬鹿でしょ、と返信する。高校に入学して、部活にもまだ入っていないからたるんでるんじゃないの。
人様よりも“長い”背をかがめて、樹の枝をくぐり抜けた。緑色だ。まだ肌寒いくせに、道を歩く小学生のランドセルはぴかついていて、けらけらと嬉しげに駆け抜けていく。ちりん、と通り過ぎた自転車と一緒に、たったか犬がかけている。「すごい、おっきい」 きこえてますヨ、なんていちいち嫌味を言って歩くほど、僕の体力は無限大ってわけじゃない。
ちらりと目線を落とすと、ぴくんと女子高生の肩が震える。ばか、もう、とお互いに肘打ちをしあって、頭を下げられた。(別に怒ってませんケド) ジャイアントなもので。
きゃらきゃら楽しげな女子高生の声を後ろにしながら、たったか長い足を伸ばす。あくびは出ない。中学まではもっと早かった。遅いくらいだ。(部活、ねえ……) どうしたものかな、と考えた。続けるのは面倒だけれど、やめるのもまた面倒くさい。
ぱんっ、と目の前で信号が青に変わった。
まったく、面倒だ。あたらしすぎる教科書を詰め込んだ鞄を抱きしめて、タッと駆ける。そういや山口はどうなんだろう。遅刻とかしちゃうわけ、と一瞬気になった後に、まあそこまで気になるわけでもないな、と頷いた。あっちはあっち。こっちはこっち。人混みがひどい。いつもは閑散としているくせに、こっちが不機嫌だとすぐにこれだ。しばらく待つと、もう一度信号が青に変わっている。「ツッキー!」
そばかすだらけの頬を真っ赤に染めながら、ごめんごめん、と山口が何度も足踏みをして信号を待っている。別に僕、待ってないけど。
「よかった。なんとかなりそう。ツッキーも遅かったの?」
「別に。人が多すぎただけ」
ジャイアント、ともっかい聞こえた声に、何故か隣の山口がおろおろと首を振っていた。
***
高校になっても、特になにも変わらないと思っていた。
あえていうなら、視力は少し悪くなった。
ついでに背もまた伸びた。勉強は始まったばかりだし、部活もどうするか決めてない。
『おはようございます』
おはよ、おはよ、聞こえてないのかな、やっぱりそうだよね、おはよー。
変な種類の目覚ましでも枕元においているのだろうか。とりあえず手元の時計を探して、バンッと頭をぶったたく。『あ、おきた』 おはよー、と耳元で女の子の声がする。「……ん?」 とりあえず、メガネを探した。母親にしては声が若い。さすがに寝起きの頭ではコレ以上は回らない。メガネをかける。天井を見た。なにも変わらない。
『あの、私、気づいたらここにいるんだけど』
どうしたらいいと思う? と尋ねられた。(今日の夢……どんなんだっけ) 起きてみると、寝ていたときの内容がスッポ抜けている、なんてよくある話だ。きょろきょろと部屋の中を見回してみる。誰もいない。寝ぼけているな、と思った。さっさと着替えよう、と立ち上がって上着を脱ぐ。『えっ』 それからズボンも脱いだ。『キャーーーーーーーーーッ!!!!!』
つんざくような悲鳴が頭の中でぐわぐわ響く。やばい。
自分がどうにかなってしまったのかもしれない、と思うとひどく不安になった。寝ぼけているんならいい。なんだあの声。一瞬、誰かが部屋の中に紛れ込んでいるのかとも思ったけれどもやっぱり違う。それにこの声は、どっから響いていたとかそんなもんじゃない。『あ、ごめんなさい、驚いて』
違うの、と今度は少し戸惑うような声がする。『私、幽霊とかじゃないと思うんだけど……』 たぶん、と自信なさげな声だ。「ちょっと待ってよ……」 朝っぱらから医者に行かなきゃなんないの、とパンツ一丁で、足元にズボンをひっかけたまま、思わずベッドの上に座り込んだ。
『私、気づいたらここにいるの。位置でいうと、だいたいあなたの頭の上くらい?』
頭がおかしくなったとか、そんなんじゃないから、お願い信じて、とぷるぷる震えるみたいな声を響かせられると、さすがに色々心が折れた。