■ 設定画ネタ(?)から番外編。短い




・マクドール。

元は貴族のお坊ちゃん。けれども今は。ただの





「お前、ときどきちょっと妙だよな」
「あ?」

なにそれわかんなーい、と若干酒に舌を回しながら、熊の男には笑った。げっぷ、と酒臭い息を口から出して、「俺から言わせりゃあんたの方がよっぽどだが?」と赤ら顔を近付けた。

「お前の中身、空洞かなんかじゃねーのか? どんだけ飲んだら気がすむんだ? 言っとくけど俺はおごらねーぞ」
「またまた」
「何がだコラ。俺が嫌いなもんは暑苦しい男と、財布がからっけつなことだ」
「熱いってんならうちわで仰ぐ。寒いってんなら温めてやるんだよ」
「お前うまいこと言ってる顔してるけどもまったくもってうまくねえからな?」

つまり何がいいたいかというとお前と一緒にいると、両方ともにヒットすんだよ! なんて叫ぶの声は、端から届いていないらしい。ふんふん、とビクトールは鼻で歌って、楽しげにを見つめている。「お前、やっぱり変わってるな」「お前のその筋肉質もなかなかだがな」「坊ちゃんくせぇ」 げほ、とは酒を吹き出した。

「……は? どこが? 流浪人の退治屋のこの俺に、お前は一体なんの文句が?」
「別に文句も何も言ってねえだろ。まあなんだ、ときどき妙に仕草が軍人めいているような」

ぶふっ、とまた吹き出した。そうして、まあ落ち着け、と自分自身に声をかける。ただの酔っ払いの戯言だ。「お前、酔ってるな? 酔ってるんだろ、そりゃそうだ、あんだけ飲めば」「あー……」 そうかもしれねえなあ、とうんうん頷く男にため息をついて、居心地悪く座り直しながらとんとん膝を指で叩く。

「つうかな、いると思うか? こんな軍人。まあ軍人にも色々だがな、ちいと口調も態度も粗野すぎない?」
「まあそうだな」

納得気にビクトールは視線を遠くして、「だからなんだがな」と片手をあげて、ビールを一つ注文する。「あん?」「口調の割にゃあ身なりが小奇麗すぎるぜ。案外、そういうとこは隠せねぇもんなんだよな」

あいよ、とテーブルに置かれた酒に手を伸ばす熊を見て、は瞬いた。ついでに顎もひっかいた。
「いや、お前が風呂に入らなさすぎるだけじゃね?」 一般的な基準と、ちょっとずれているというか。

ビクトールは視線を上げた。そうしてゆっくり頷いた。
「まあそうか」
「そうかじゃねーよ。風呂くらい小まめに入れ、とついでに服も洗濯しろ」
「おっとそろそろ時間だな」
「おいごまかすな。ごまかすなコラ。つーかお前金持ってんだろうな、持ってんだろうな、持ってんだろうな!?」

支払い! 勘定! 待てやコラァ! と悲鳴を叫ばせながら、ずるずる熊の腰にひっつく男の姿は、少々物悲しいというか、なんというか。


後日、冷たい財布を抱えながら、両手で顔を覆う青年の姿が発見されたとか、なんとか。









2012/12/24
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頂いた設定画(*夢主絵)の、隠し切れない坊ちゃん臭という言葉にツボって。飾り紐が坊ちゃんとグレミオからもらった軍人祝いとかまとめたかったんだけどもまとまらなかったくそォ……