自分に自分で問いかけたい。
この面白可笑しい状況になってしまった理由を。
第9話 そろそろ楽になりたいよ
「ごめんね?」
「いえ…」
は、と軽く息を乱しながら、くい、とこちらに顔を向け、この太陽の光に透き通るような、儚げな少年(いや、自分よりも年上っぽいですけど)はとても申し訳なさそうな表情をつくる。 その表情を見て、ぶっちゃけ被害者は自分だというのに、何故だかごめんなさいと謝りたくなる気分になってしまって。
コイツは、危険だ(華原さんの次に)
ぴこーんっ、と素敵な音をたてて、自分の膝の上を堂々と堪能する少年についての結論が出された。っていうか、本当この体勢どうなんですか。
自分、正座。
少年、自分の膝の上。
→膝枕(=乙女の夢?)
(…泣きたい)
「どうかした?」
「…いいえ(アンタの所為で泣きたいだけだよ)」
こちらへと、ふいに伸ばされる手に、一瞬ビックリしながら、それよりも、と自分は続ける。
「体調の方、どうなんですか」
ふらふら危なっかしい足取りで、公園の中を歩いていた時よりも、幾分か顔色はよくなった気がするけれども、それでもやっぱりまるで生気が漂っていない。
ぶっちゃけ。自分は面倒事には関わりたくない性質なのですが、これは、あまりにも、そう、心配な程で。
黄緑色のちくちくした芝生の上を駆け抜ける風と一緒に、この人はにこりと笑った。
「ん。キミのお陰で、大分よくなった」
嘘くさい。
そう思って、この少年の額へとゆっくりと手を伸ばして、温度を計る。
ぴたり、と触った瞬間にこの少年はほんの少し震えてた(というか驚いた?)ような気がして、他人にこんな、えーと、膝枕、なんてさせるのは平気なのに、触られるのには慣れていない彼にほんの少し笑ってしまった。
「大丈夫、みたいですね」 「だからいったでしょ?」
クスクスお上品に笑う少年。
正直、思う。
こんな感じで、大丈夫、なんていわれたら、この人の事が気になるじゃないかって。
(だから、面倒事は嫌だったはずなんですって)
「じゃ、僕はそろそろ戻ろうかな。ごめんね」
「はあ」
ぐい、と力を入れて、ゆっくりと上げられたその感覚に、ふ、と膝が軽くなる。
(なんだかこの人は)
「ありがとう」
ふわりと柔らかく微笑む少年。
(この人は)
「それじゃあね」
「あの」
立ち上がって、遠くに行ってしまう少年を制す声に、少年はまたにこりと微笑む。
思わず出てしまった声に、自分でギュ、と唇をかんだ。
「…人の放り投げ方、ウマイですね」
(この人は、絶対、女ったらしだ)
ぐわりと見開いた目に、自分の姿が映って見える。
ああ、つまりはこの少年の目には、自分がこう映っているんだな、と考えると何故だか複雑な思いに駆られた。
少年はというと、ふいに宙へ視線を飛ばしたかと思うと、ほんの少し、口を上げて、どこかのいたずらっ子のようにも見える(ホント少年みたいだ。)
「バレた?」
「はあ」
「んー、引き留めついでに、名前 聞いてくれるかと思ったんだけど」
さび色の髪を右手でとかして、まるでネコのように目を細めながら、残念そうに口をとがらせる様まで彼は何故だか型にはまっていて。
「直球勝負って、僕そんなに好きじゃないんだけど」と小さな言葉が耳に通り過ぎた。
「名前、教えて?」
取り敢えず、あっかんべー

2006.07.30
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