「お前まだいんの」
呆れたように、は呟いた。



 少年は探す



最後に見た光景とまったく変わらず、ベンチに座る少年は、紛れもなく、ソルと名乗った人間だ。少なくともあれから数日はたち、わずかな好奇心と共には公園へと訪れた。
バカじゃないか、と制服姿のまま相も変わらず同じ服の少年をじろりと見詰めると、「どうしたんだお前」とあっけらかんと返事されてしまった。

「お前、家出かなんかだろ。諦めて家に帰れって」
「家出? 違う、この間説明しただろ。トウヤを探してるんだよ」
「じゃあさっさとトウヤくん探してお家に戻んなよ」
「それが出来たら苦労してない」

ふう、と背中をベンチにこすり付ける彼を、はじっと見詰めた。立ちっずばりの足が痛い。けれどもなんとなく彼の隣に座る事は躊躇されたので、ずっと立ったままだ。

「お前、金、金持ってんの」
「この世界の金は持ってないな」
「妄想ワールドはもういいから。金ないのか、メシどうしてんだ」
「名も無き世界って、凄いんだな。そこら辺の店の裏に、食いもん大量に捨ててある」
「お、お前……根性入った家出だな」

というかバカなのか? と思わず首を傾げながら、しょうなねぇな今回だけだぞ、と呟いて、近くの自販機へと百円玉を二枚投入する。ぽちん、と押されたボタンに帰ってきたおつりと缶ジュースを取り出して、「ほれ、やるよ」
投げた。
別には、ソルと名乗る少年へと同情心をくすぐられた訳ではなく、これ飲んでさっさと帰れよという意思表示を示したかっただけだった。

けれども投げられた缶ジュースを器用に受け取ったソルは、「あちっ」と一言呟いて、しげしげと珍しげにその物体を見詰めている。
「………なんだこれ」


そのときは、心底コイツはバカだと感じた。もしかしたらこいつは筋金入りのお坊ちゃんなのかもしれないと、せっかくおごってやったのに、それが無駄になるのも忍びないので、ソルから缶を受け取ると、プルトップをばちん、とはずす。「ほれ、ここから飲むんだよ」と空いた空間へと指をさし、その中でたぷんと揺れる茶色い液体を見詰めながら、「すごいな、ロレイラルの技術みたいだ」

もうロレイラルでもなんでもいいのでさっさと飲め、と口の中にぶちこんだ液体を、ソルはゲホゲホとはき出した。

「なんだこれ、苦いぞ」
「コーヒーも飲めんのか、お前は」



1000のお題 【585 それはそうと】




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                         アトガキ

書いた後、サモにコーヒーは普通にあるなと気づいた。
でもソルくんは飲んだ事ないかもしれない。

2008.08.11