テッドが逆トリップ(1話目)
*短い基本的にオチがないシリーズ




散歩好きの相棒のプードルをひっぱって、私は粛々散歩した。わふわふわふ、と元気に吠えるわんころは、常にマックスモードである。

「よろしくおねがいしまーす」

語尾が伸びた掛け声が聞こえる。私は無言で片手を出した。「ありがとうございまーす」 カラオケ割引。私は静かに頷いた。そうして、高速ダッシュで逃げ出した。犬は激しく喜んでた。





     




コンタクトのティッシュ配りから卒業し、現在はカラオケ。派遣か何かに登録しているのだろうか。ちゃっかり馴染んでいるテッド(仮)であった。

つい先日、私はテッドがこっちの世界にやってきた瞬間を目撃した。そしてスルーしていたら、普通にアルバイトをしている姿を発見した。テッドすげえ。
あのときテッドに勇気を持って話しかけていれば、また別の展開があったのかもしれないが、一般人の私にとっては、ちょっとスキルが足りなかった。残念である。

そういうしているうちに、ティッシュ配りのアルバイトは終了してしまったらしい。この珍しい状況が終了してしまうとは、なんとも口惜しいと若干心の底で思いながら、私は日々犬の散歩をした。そして、「新商品の試供品でーす」 ぼんやり顔で、お菓子を配っているテッドを駅前にて発見した。

私はもぐもぐお菓子をいただきながら、アンケートに回答した。「ありがとうございまーす」 そこそこに美味しかったので、中々満足し帰宅させて頂いた。


うちの街には、なぜかテッドっぽい人がいる。




2013.07.20
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