好きな女の子がいる。その子は自身の仇の娘で、その息子は友人となった

     守りたかった男の子がいる。自分はとっくの昔に死んでしまって、私は仇の娘となった












手のひらの中の音素を、くるりと回した。きゅるきゅるきゅる、と溢れた水が、わずかに膨らむ。水の波紋が宙に待った。ほんの少しだけ指を動かす。くるり。くるり、くるり、「あ」 小さな亀裂が走った。「あ、あ、あ」 ぴし、ぴし、ぴし。補おうと動かせば動かすほど、宙にできた水たまりは避けていく。ぱしゃんっ。とうとう小さな音を立てて、水は私の手のひらの中にこぼれ落ちた。「あー……」 やっちゃった。

えへへ、と濡れた両手を前に突き出して、肩をすくめた。「しっぱい、しちゃいました……」 えへへ。「……ッ!」 唐突に響く怒声に、私はひゃっ、とか体を小さくさせた。「失敗しちゃった、じゃありませんでしょう!?」「ご、ごめんなさい、ナタリアさん、その」「だいたいなんですか! あなたは第三音素と第四音素を使用できるのですから、スプラッシュをなさい、と言ったでしょう!」

まったく、誰も彼もがあなたを甘やかすから、私が譜術を見てあげましょうと名乗り出ましたのに、とプンプンほっぺたをふくらませる彼女に、私はなんにも言えず、しょぼりと手のひらから雫をこぼした。「なんです今のお遊戯は!」「えっと、あの、第三音素と第四音素……水の音素を集めて、それを集めた風の音素で宙に浮かせた、と、いいますか」「スプラッシュ、スプラッシュです!」

ビシッとナタリアさんは、私に指を指す。「ただ失敗しただけでしょう? FOF変化もなしに、種類の違う音素を結合させただなんて、聞いたことがありませんわ。言い訳なんて必要ありません。とにかく、あなたはさっさと技の一つでも覚えなさい!」 信じられませんわ、とナタリアさんはふんっと口元を尖らせながら腕を組む。(本当に、そうなのになぁ……) 私の譜術は、他の人とはちょっと違うのだ。けれども、そんなことを今のナタリアさんに言ったところでどうにもならない。というか、言い訳なんてしようものなら、火に油を注いだみたいに、もっと怒られるに決まっている。

私は無言を徹することにした。とりあえず、殊勝な顔をしてみる。申し訳なさそうな顔だ。なんだか情けない。実際、きちんとした譜術を使えない自分が悪いのである。「、……、聞いていますの!?」「は、はいっ、きいています! 大丈夫です!」 うっかり自分の世界に入りすぎた。

怪しいですわねぇ、と言うようにナタリアさんは片眉を釣り上げて、伺うように顔を落として、じっと私を見下ろした。「それで、、あなたいくつになりますの」「え? あ、えっと、16、です」「そう、16ですわ。私は18、ルークは17。そして、あなたが使うことのできる譜術の数は?」「ぜ、ぜろこ、です……」「そう、16にもなって! 音素の適正があるにもかかわらず、一個もない! あなた、それで構いませんの!?」 また怒られた。

そうなのだ。私は16、ナタリアさんは18、ルークさんは17、ガイさんは21歳。気づいたら、こんなに時間が経ってしまっている。それで構いませんの? と言われても、別に、構わないかなあ、と思う。だって私は元は地球の人間で、自分がこんなびっくり魔法を使えることができるようになった、それだけで満足十分、驚き桃の木である。けれどもそう返答するとナタリアさんが怒るので、私は口を縫いつけたまま、そそっと視線を逸らした。しかしながら、そんな私の態度で、声にならない言葉を汲み取ったらしい。またナタリアさんはぷぴーっ、とやかんを鳴らして、びしびしと私の鼻先に指をつきつけた。

「ただファブレ家の娘として生まれ! ただ良き嫁となるように教育され! どこの馬の骨とも知らない男と結婚し! 子どもを残す! ただそれだけのために人生を費やす、弱い女となっても、構わないのかと訊いているのです!」
「え、えっと、えーっと……」

嫌か、そうじゃないか、と言われたら、どっちかというと嫌だ。できることなら好きな人と結婚したいし、おじいちゃんとかおじさんとか、年が離れすぎている人とかも、勘弁して欲しい。けれどもそれはあくまでも自分の内面で、一応私は・フォン・ファブレである。めんどくさいことに、王族に連なる血筋として生まれてしまった。自分が今更駄々をこねたところでどうにもならないし、今のところ、私には何人もの “未来の夫”候補者がいて、誰が一番このキムラスカのためになるか、と選考中らしい。近い将来、顔合わせもあるだろうし、ときどき無理やり連れて行かれる夜会では、「あ、多分この人とか、この人とか、そうなんだろうなぁ」というような心当たりのある男性たちもたくさんいる。

なので小さい頃から、「ま、しょうがないことかなぁ」となんとなく自分に言い聞かせるようにして生きてきた。16年は、覚悟をするには長すぎる時間である。だいたい、譜術が使えるようになったところで、この未来に何が変わるのかわからない。夫を譜術で攻撃して、カカア天下を狙うのだろうか。ナタリアさんなら中々に良い感じかもしれないが、私にはちょっと無理がある気がする。守られてなんぼ、できることすらできないふりを。教育係の家庭教師の人たちにはそう習ってきた。めんどくさいことこの上ないけれど、それに文句を言うような立場ではないし、言ったって仕方がない。

「んー、んー、んんんー」

私は唸った。どう返答すれば、ナタリアさんが納得してくれるだろう。ナタリアさんの意見に同調する、ふりをする。中々かもしれない。でも、そんなことをしたって、のちのちもっと面倒になるかもしれない。「あの、ですね」私はもじもじしながら彼女を見上げた。言い返すことができるのならしてみなさい。そんな風貌で、ナタリアさんはじろっと私を見た。「えっと、その……しょうがないかなーって」

未来の旦那様は私が選ぶことじゃありませんし、そういう決まりなんですから、私が文句を言っても……と、そこまでもごもご言い訳をした後、間違えた、と感じた。正直になりすぎた。
ふるふる、とナタリアさんは肩を震わせ、「ー!!!」「はいー!!!」 

まったく、あなたは何でもかんでも流されてばかりで、きちんと自分の意見というものを持たなければ王族に連なるものとしてうんぬん。ナタリアさんの噴火した火山の麓で、私は「はい……はい……」としょんぼりとこうべをたれながら、粛々と頷いた。辛い。



   ***



「今日もまた、災難だったなぁ」

どこから見ていたのか、私の部屋にやってきたガイさんが、からからと笑っている。「まあ、ナタリアさんが怒るのも、無理はないと思うんですけどね」 なんてったって、いくら彼女が教えたところで、私はきちんとした技の一つも覚えられないのだ。本人にやる気がない、ということもあるけれど、別の理由もあるのだ、と私はこの頃わかってきた。

     私は、もともとこの世界の人間ではない

もちろん、体はファブレ家の娘のものに違いないし、昔は異世界人、もしくは宇宙人であったとしても、今はなんの問題もない。あるとすれば、世界にある現象への、捉え方が違うのだ。
この世界の全ての物質は、元素と“音素”が交じり合って出来ている。それらは全て、固有の振動数を発し、同じものは一つとしてありはしない。その音素に干渉し、魔法のような力、譜術を使う訳だけれども、私にはそもそも、“音素”という概念がない。これでも腐っても、元は物理学専攻だ。こっちに来る前は、数学科の方に転科しようかな、なんて結構本気で考えていたけれど、そこいらの人たちよりも、世界の現状を数式で捉える癖がついていたと思う。

そんな私に、音素なんてへんてこりんな概念が理解できる訳がないのだ。いや、知識としては理解をしていても、感覚ではそうじゃない。きっとこのオールドラントで一人だけ、地球の公式を理解して、つまりはもとにして譜術を使用しているものだから、普通の人よりもへんな譜術になってしまうのだ。(まあ、だから何って訳ではないけど……) 下手に興味を持たれたら大変だ。このことを誰に言うわけでもなく、とにかく私は譜術の下手なお嬢様として、ナタリアさんに怒られてばっかりだ。
今日もびしばし文句を言われて、しょぼしょぼと凹んできた。椅子に座り込みながら、ぺたりと手のひらの先をテーブルに置くと、ガイさんは同じく向かいのテーブルにある椅子をひいて、「ま、気にするな」とやっぱり私とある程度の距離を持ちながら苦笑した。


ガイさんの女性恐怖症は、二十を過ぎても治ることはなかった。
本人いわく、女性は大好きで、治せるものなら治してやりたい、と嘆いているけれど、中々そのきっかけは訪れないらしい。そうだというのに、メイドさんたちに優しくするものだから、期待して、傷ついてしまうメイドも多い。そこのところを文句を言おうにも、誰にでも、特に女の人に優しいのは、彼のいいところでもあるので、やっぱり何にも言えなくって、私は長くため息をついた。

「ナタリア様がうちに来てるのは、の特訓が目的じゃなくって、もっと別の目的があるんだしな」 ふとそのとき、窓から、男の子が怒ったような声が聞こえる。それと一緒に、ナタリアさんの声も聞こえた。あの約束、まだ思い出してくれませんの? 多分、そんなところだろう。「彼女も健気だねぇ」と呆れたように首を振るガイさんに、「ルークさん、尻に敷かれそうですねぇ」 本当に、とガイさんは何度も頷いた。

「まあでも、、無理って言うんなら、きちんと断ればナタリア様も諦めるんじゃないかね」
「えーっと」
「別に、きみが譜術を使えたって仕方がないだろう。まあ、使えるにこしたことはないが」

きみは守るよりも、守られる方が似合ってる気がするしな。とガイさんは何の気なしにつぶやいた。
別に嫌味という訳でもなく、こういうセリフを本音でさらりと言ってしまうのだから、怖い。下手なメイドさんなら、ときめいてフォーリンラブだ。「うーん……」 けれども、そう堂々と言われてしまうとへそを曲げたくなる。自分だって、そういうことに自分自身が向かない、ということは知っているけれど、ガイさんにそう言われると、むーっとしたくなる。(昔はあんなに小さかったくせに……) くせに、なんて自分には珍しくひねくれたことを考えてしまった。なのに今はこんなに大きくなりよって。にょきにょきすぎる。まさか180センチを軽く越えるような巨人に育ってしまうなんて、思いもよらなかった。でもジクムント様は大きかったし、いやでもでも。

私が机を見つめてうむうむ唸っていたものだから、ガイさんは私がへそを曲げたと勘違いしたらしい。「いや、すまない。でも、ほらは小さいし、可愛らしいし、ナタリア様みたいに譜術やら弓を扱うよりも、もっと似合いのものがあるんじゃないかって思ってね」 そうやって、すぐに女の人を褒めるから、自分でいらぬ種をまいて、後々困ることになるんですよ……なんて言葉は口をつぐみ、せっかくこっちの機嫌を取ろうとしているらしいので、「例えば?」と私はちょっとだけ低い声を意識して、ちらりとガイさんを見つめた。

「例えば……」 ガイさんはひたりと手のひらを顎にあてて、何かを考えるように視線を上にあげて、ぴたりと止まった。ガイさん? と声をかけてみると、「あ、ああ」と彼は頷いて、「そうだな、可愛いお嫁さん、とか」 ときどきガイさんは、こうして寒いことを言う。私はぬるい顔つきで、じー……とガイさんを見つめた。「花嫁修業でしたら、もう十分に家庭教師から受けています」 本当に、十分すぎるほどに。

「あー、あー、あー、そうだったな……でもそれは、キムラスカの貴族に嫁ぐための修行だろ? そうじゃなくって」
「マルクトですか? それは……ないんじゃないかなぁ……この頃また関係は悪くなりそうですし……あ、でも、和平のための身柄引き渡しみたいな」

どうなるかは分からないが、もしキムラスカの人たちがマルクトとの戦いを望まず、とりあえずの関係性を保とうと、出しても大して痛くはない、けれども国としては重要な役柄である、キムラスカ国王の妹のその娘、つまりは私を人質として差し出す可能性は、確かにある。というか、ものすごく高いような気がしてきた。

この世界の政治は、駆け引きをプラスして、預言という、ノストラダムスのような予言の書みたいなものが重要視されている。その預言の通りにしていれば、未曾有の繁栄が訪れる     なんていうのは、この世界に住む人たちの常識で、大した理由もなく、その預言に従うことも多い。便利なものがあるものだ。だからときどき、予想もできないことが多いのだけれど、マルクトに売り渡される自身をリアルに想像することができて、なんだかお腹が痛くなってきた。もし戦争となれば、一番に殺されてしまう恐ろしい立場である。「あああ、それは、考えて、なかったです……」 というか、考えないようにしてたというか。

おじいちゃんでも禿げた人でも、お腹が出た人でも構わない。とにかく未来のお相手は、キムラスカの貴族の人でありますように、と手のひらを合わせて涙目になる私に、「い、いや、そうじゃなくてだな……」 またガイさんがどうにも形容難い声を出した。「そういう、戦時というか、政策というか、そういうのじゃなくてだな、普通に、その、好きな人と一緒になるというか」

ガイさんは、ちょっとだけ優しそうに笑いながらこっちを見た。「そういう人は、いないのかい?」 私はガイさんの言葉を聞いて、ぱちぱちと瞬きした。そして、彼がいう結婚とは、普通の人がイメージする通り、普通の、言葉通りの意味である、と気づいたのだ。なので、うーん、と悩んだ。ガイさんに訊かれたのだから、なるべくきちんとしたお返事をしたい。「そうですねー」「うん」「いない、ですかねぇ」

そうかぁ、とガイさんは少しだけほっとしたみたいな、けれどもがっかりしたみたいな顔をして、テーブルに肘をついた。「だって、お屋敷の中じゃ、ガイさんとか、ルークさんとか、ラムダスさんとか、ペールさんとかしかお話しませんし。執事の人とお話したらラムダスさんが怒るし、白光騎士団の人は、お話しても返事をしてくれませんし。なんだか要人とはお話ししちゃだめって決まりがあるそうです」

寂しいですねぇ、と思わず本音をつぶやくと、ガイさんには珍しく、「うん……」とまるで生返事のような声を出して、テーブルクロスに目を向けている。「それに、好きな人がいたら困っちゃいます」 彼がそんな態度だったから、思わず心の中でぽつりと考えていた言葉を吐き出してしまった。ガイさんはふと顔を上げて、「何故だい?」と首を傾げた。まさか食いつかれるとは思わなくって、「えっと」と私は言いよどんだ後、テーブルの上の花瓶の表面に指をのせた。ひんやりしている。「だって、好きな人がいても、結局私はその人とは一緒になれないじゃないですか。だったら、初めからいないほうがいいかなぁって」

自分が言っている言葉は、少しだけ寂しいものだと知っていた。ガイさんはなんの返事もなくって、私は慌てて明るい声を出した。

「そういえば、今日もヴァン師匠がルークさんに剣術の稽古をつけてくださるんですよね!」
「あ、ああ。そうだな。……そうだな、デート、するかい?」
「……はいっ!」
「まあ、俺もヴァン様とルークの剣術を、ちっとは見学したいからさ。途中でぬけて、きみのところへ行くよ」

それまで部屋で待っててくれないか、と言う彼のセリフに、私はうんうんと頷いた。
     デート、というのは、ただの例えである。暫く前に、彼の練習のデートに付き合うようになってから、こうして私とガイさんはこっそり二人でお屋敷を抜け出すようになった。最初はびくびくしていたのだけれど、どうせ私はいつも部屋にこもっておとなしくしていることが多いのだ。確認のためメイドが来ることなんてないし、いなかったとしても、どうせ屋敷のどこかで本を読んでいるのだろう、と納得してくれる。

全く疑われないというのも、なんだか寂しい話だけれど、私とガイさんはお互い味を占めてしまったのだ。王家の象徴である赤髪を隠すように重いフードを被って、私とガイさんは、街を歩いた。とは言っても、ガイさんは1メートル以内に女の人に入られると、びっくりして逃げてしまう。これでも昔よりはマシになったんだぞ、と言うことらしいけれど、普通の人と同じふうに街を歩くことができるまでの道のりは、なんだか遠い。

私とガイさんは、他人みたいな距離感で街を歩いて、ガイさんの行きつけのお店、つまりは音機関のお店に向かう。そのお店に入れば、ガイさんは私のことなんて目にくれないで、瞳をハートにして店内にかじりついたり、機械の説明を一生懸命楽しげにしてくれる。ガイさんが楽しそうだと、私も嬉しい。お店から出て、屋敷に帰る時のガイさんは、毎回毎回、「俺から誘ったのに、放ってしまってすまなかった」としょげるのだけれど、そんなの全然気にならない。音機関のことになると、ガイさんって可愛くなりますねぇ、と思わず本音を言ってしまったとき、彼は少しだけ耳を赤くして、なんとも言えない顔をしていた。「男に可愛いは、あんまり嬉しくはないんだがね」ということらしい。


(楽しみだなぁ)

私はガイさんがいなくなった部屋で、ぱたぱたと足を動かしながら微笑んだ。「今日は、どこに行くのかな……」 やっぱり、いつもと同じ音機関のお店だろうか。それとも、どこか別の場所かな。
楽しみになって、えへへ、とまたぱたぱたと足を揺らした。そして、ぺたっとテーブルに顔をつけた。だからだろうか。わずかに瞼が重くなった。「うーん……」 寝ちゃだめだ、と思う。寝ちゃだめだ。だって、寝てしまったら、次にガイさんがやってきたとき、困ってしまう。彼は私に触れないし、私の部屋で大声を出す訳にはいかない。だから、寝ちゃだめだ。

そうわかっているのに、瞼はどんどん重くなった。
なんだかおかしい。昨日はちゃんと眠ったはずなのに。どんどん体は抗えなくなった。そのとき私は、この眠りはただの眠りじゃないと気づいたのだ。けれどもだめだ、私はとうとう瞳をつむった。そいて、闇の中へと意識を落とした。




ルークさんが、誘拐された



あの眠りは、侵入者の人がしかけた術で、館のメイドも、執事も、騎士団の人も全員を眠らせ、彼女はルークさんを連れ去った。
誰も彼もが眠っていたというのに、何故犯人が“彼女”と分かったというと、襲撃者の素性が、あっさりとわかってしまった。ヴァン師匠の妹である、ティア・グランツ。これは彼女の第七音素と、ルークさんの第七音素が超振動を起こしてしまった事故であり、たしかに妹は自身の命を狙い、この館へやって来たが、それもただの誤解である。で、あるからして、今回の件に、ルークさんの命の危機はない。
そうヴァン師匠は釈明した。

彼の言葉の審議はともかく、キムラスカ軍は、すぐさまルークさんが消えた軌跡を追った。
測定された振動数からの計算では、彼はマルクト領地に飛ばされた     数日のうちに、そう判断された。私の父であるクリムゾン・ヘアツォーク・フォン・ファブレは、敵国であるという選考を重ね、目立つ騎士団ではなく、単身で捜索に当たることが可能な、ルークさんをよく知る、今回の事件の原因ともいえるヴァン師匠、そして、ガイさんへとルークさん捜索の任を与えたのだった。






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2012-04-18