男主BASARAトリップの外国人牧師さんが、もしデュラララ!!の世界の方にトリップしてたら……という妄想編。キャラと会話はあんまりありません。
トリップまでの前半部分はすっとばしてます。不親切ですみません。主人公が若干暴力的です。

デフォルトはバリバリ横文字だけど、変換したら日本名。あんまり気にしないで下さいねー。




【ボク、シ!】



。大学生男。オーストラリア出身。金髪青目。バイト先、結婚式場。というか「汝健やかなるトキモー病めるトキモー?」とかほかほか新婚さんにきいちゃう役。日本語ぺらぺら。確認終了。


「…………あっれ、おっかしいな……」

何がおかしいのか? 俺は自分の牧師服を確認した後に頭をひっかく。金髪きらきら。一番何がおかしいかと言えば、俺のこの格好な訳なのだけど、これはデフォルトなので問題ない。うんうん問題ない。つまり何がいいたいかというと、俺はお手洗いをしましょうと男性用小便器の前によっこらせと移動したはずだ。けれども現在俺がいる場所と言えば、どこぞの都会のど真ん中。あ、トイレしてー、ともぞもぞしている場合ではない。瞬間移動だ。

わかった俺、あまりのトイレしたさにボケちゃったんだ。お疲れ俺様。とりあえずトイレ場所を探すべきである。まるで首都圏のように大量の人が行き来しているので、トイレを見つけることなんてさぞかし簡単だろう、と俺は甘く見ていた。「な、なななな、なんでコンビニにトイレがねーんだよ!!」 わざわざ張り紙で当店にはトイレがありませんなんて主張しすぎだろ!?

信じられない。ここのコンビニの店員はもし唐突な下痢に襲われでもしたらいったいどう対処するのか。根性なのか。いいや嘘だ、きっと店員のみ使われるトイレがあるに違いない。神様俺にトイレを、「ギムミー!!!」 思わず死ぬ気で叫ぶと、後ろのカップルが「あの外人なんか叫んでる」「なにか欲しいみたいだぜ」と言いながら去っていく。ちょっと恥ずかしい。

人に聞こう。そう、俺には人間の文明が残っているじゃないですか。言葉という偉大な発明があるではありませんか。「あ、あのー」 そんな訳でぷるぷるしながら周りの人へと声をかけようとすれば、さっと逃げられる。「あのー」逃げられる。「すんませーん」逃げられた。


(俺、日本語しゃべれるのに……!)
っていうか日本育ちなのに!

なんだいなんだい、とやさぐれた気持ちでふらふらと通りを歩く。日本人冷たいよー、とほろほろ涙がこぼれそうになったとき、ポンッと誰かに肩を叩かれた。見かねた俺を救ってくれた神様女神さま!? と思いながら振り返ったそこには真っ黒いお肌の外国人が微笑んでいた。「スシウマイヨー」

「………え、遠慮しときます……」
「サービススルヨー」
「お、お金ないんで……!!」

板前の格好をした不思議な人である。恐ろしい威圧感がびんびんに放たれる。こいつ、ただものではない! 俺カツアゲのピンチではなかろうか!「う、うわーい!」 涙をこぼしつつ外国人こええー、と逃亡しつつ、俺だって心な立派な日本人なのだな、とふとしたことに気付いてしまった。なんてこった、愛国心がわくぜ、なんてことを考えている場合ではない。
「アッレー、何あれ神父のコスプレ?」「まじすか。おおおー、ガチっすねー。ルーンでイノケンティウスとか呼び出せちゃいそうっす! でも俺はシスターさんの方が萌えるっすー!」「あっははははーその幻想をぶっこわすー」「トリニティなブラッドー」「「ぎゃはははは!!!」」

後ろのカップルの会話の意味がまったくわからない。
というか俺は牧師であって神父ではない。

とうとう言語まで別の地帯にまでやってきてしまったのだろうか。ふらふら力なく歩きながら、壁にもたれ掛かると、たばこをくわえた中高生が俺をじろりとにらんだ。「あ? 神父がいるぜ」「ガチ外国人か?」「なんでよ」「おいこっちこいや」首根っこを掴まれ、ずるずると路地裏へとひっぱられる。

「オイコラ金だせやガイジンよー」「あれ、しゃべんねーの?」「言葉わかんねーんじゃね」「プリーズギムミーマネー?」「ばっかかお前ら」

口ぐちに放たれる言葉に、俺の方はぷつんと一本何かが切れてしまいそうだった。「おらよ」と言いながら放たれたパンチを片手で防ぎ、「お前らなぁ……」勢いよく握りつぶす。ぐきゃっと手のひらから嫌な音が響き、男はすりつぶすような声を出して、口にくわえた煙草を地面にこぼした。

「俺がもらしたらどう責任とってくれるんだアアア!? あと俺は神父じゃねえ牧師だっつってんだろうがぁ!!」

そして力の限りぶん殴った。



「ア? トイレの場所教えろっつってんだよ聞こえてんのか」 パンパンパン
「あうっあうっあうっちょ、ビンタは、ビンタは……!」
「さっさと答えろ俺の膀胱が爆発寸前で暴行にはしんぞ」 パンパンパン
「ぼうこうがぼうこうとか、日本語上手ですねぶは」
「照れちゃうだろうが」 首絞めぎゅっ

そんな訳で不良高校生三人をふんじばり、上機嫌に路地と抜けると、ふと不思議な男とすれ違った。金髪にグラサン、バーテンダー(お、いい体してんな) ありゃあ喧嘩に強いだろうなぁ、と思いながら、まあ下手な奴には関わらないように、とスキップしながらトイレに向かった。



妙な外国人を見た。スキップしつつ鼻歌まじりで「トイレトイレ」と幸せそうに笑っていたことはとにかく、金髪青目で神父服で街中を歩いていた。なんだありゃ、と平和島静雄、通称池袋の喧嘩人形は煙草をぎゅっとかみしめながら街を歩く。ふと路地裏へと目を向けると、頭を染めた見るからにの不良連中がぼこぼこになりながらもよたよた歩く。
「んだよあの神父信じらんねぇなんであんなにトイレ極限我慢してんだよ」「神父じゃなくて牧師らしいぜ」「どっちでもいいっつーの、くっそ次会ったらマジしめる」

あいつがやったのか、というか神父じゃなくて牧師なのか。と頷き、勉強になった、と静雄は気にすることなく歩いた。しかしその瞬間、ドンッと背後から衝撃がはしる。先ほどの高校生三人のうちの誰かが足をふらつかせ静雄の背中にぶち当たったらしい。

別に弱い者いじめをするつもりはない。静雄は相手の言葉を煙草をふかせながら待った。しかし相手は彼の想像を超えた台詞を口にした。「んだよトロトロ歩いてんじゃねーよ!」

「ア゛?」

ぷつっと彼の中で一本線がぶち切れた音がする。「普通なぁ、ぶつかったら……」そして男の一人を片手で持ち上げ、「ごめんなさいだろうがああああああああ!!!!!!!!!!」

そしてぶんなげた。
「アアアアアアアア〜〜〜〜〜」「「ギャアアアアアアアア!!!」」




バーテンダーの男には近づくな。
牧師服の男にも近づくな。

池袋の伝説が増えたその日である。





2011.02.13

ずっと書きたかったからとりあえず書いた。
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