Dona Dona

異世界

「………アレ?」




私はピタリと固まった。びば、かていかぶー! そんな事をのたまった台詞のまま、ピタリと固まっていた。頭にはきっちりと三角巾をつけているし、赤髪さんの所為でのびのびとなったうさちゃんエプロンは、しっかりと元の可愛らしい顔をしている。

大きな理科室の実験に使いそうな机が、9個、ぽんぽんぽんと並んでいて、実験の机と違うところは、大きなコンロがついている事くらいだろうか。ちなみにその下の戸棚を開ければ調理器具がたくさん入っている。
並べられた戸棚の中には食器がたくさん。黒板が一つ。テレビも一つ。乾燥機もいくつか。

「………アレ?」

扉が二つ。その手前の一つが、ガラリと開けられた。


「うっわはやー。アンタ何、そんな楽しみにしてたの」


あんまりにも聞き慣れていて、けれどもとっても懐かしい台詞に、私は開いた口がふさがらなくて、それでも未だに混乱したまま「………え、なに、を?」

「何ってあんた、部活じゃん、家庭科部。今日はグラタンだってさー、やったー」
「や、やっ、たー………」

静かに、パタリと手のひらを、垂直へと上げた私を、友人は不思議そうに見詰めた。「どうしたの? 気分でも悪いの?」 いいや、とゆっくりと私は首を振って、何度もパクパクと口を動かして、のびていたはずの、どこかへといってしまったうさちゃんエプロンを見詰めて、何故だか、ぎゅううと胸を締め付けられそうになって、「あの、」「ん?」「私、今、日本語喋ってる? 英語じゃ、ないかな?」

そんな言葉をぽつりと呟けば、「英語オンチのあんたがなにいってんの」と鼻で笑われてしまった。
そうだよね、うん。



神様が、もしいるのならば、とってもヒドイひとだと思う。うんひとじゃあないのか。
なんでだろう。かえりたい、と思ったときにはかえる事ができなくて、ちょっとだけ、あっちにいてもいいかな、と思った途端に、なんでだろう。

なんてあなたはあまのじゃくな人なんですか、と少し笑った。




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2008.12.23



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