strike.muss.death



わかったきみ、ゴリラが先祖なんだ。




とりあえずこの前のことで、学んだこと。
いつでもどこでも覚悟をおし! 

気を抜いちゃダメ。俺の後ろに立つんじゃネェ! なんてデフォルトで言える程度には男らしくならねばならぬことが分かってしまった。ホワタァ! とかなり本気で机の上に足を乗せ、現在始業式終了、さぁカーエロ! なんて時間なのに、俺と雀くんはじっとマンツーマン。

攻撃は最大の防御なのだ、と誰が言ったのだろうか。ぶっちゃけ俺の場合何もしないよりマシなんだぜホワタァ! ということで机を飛び越え、雀くんへと左足キックをお見舞いした。びしり。「……ッ」 かすった。

おっしゃあ! と雀くんのパンチをよけつつ、後ろへとバックステップし、また一発、パンチを出す。それにかするように、雀くんから出された右ストレートに、俺のほっぺたは強かに打ち付けたが、まったくもって。「慣れたもんじゃい!」


驚くべきことなのだが、雀くんと毎日バトッているせいなのか、ただでさえ打たれ強い俺の耐久力はウナギ登りに上昇し、その上喧嘩ばちこい! そこらの不良だって目じゃないぜ! な男前な男へと成長してしまったらしい。ふふっと嬉しそうに雀くんが笑ったような気がしたのだが、気のせいだと思いたい。

「じゃあ悪いが雀くん、今日はここまでだ! 笹川と帰るし!」
「ふふ……」
「(ウワアアアアやっぱり笑ってる!?)……え、あの」
「いいね、咬みごたえがあるよ」
「俺スルメ!?」

俺マヨネーズオンリー派!


それはさておき、「つまらないな……」と、うれしそうな表情のまま、雀くんは呟いた。つまらなくていいよ、俺は超愉快だよ、「バイビー!」「ちょっと待って」「うぎゃあ!」 なぜだか無抵抗に近づいてきた彼に、俺は心底びっくりした。びっくりしすぎてぐるりと回し蹴りをかましてしまい、がごん! と予想以上にいいヒットの感触で、思わず上靴がすっぽぬけた。

すっぽぬけた上靴がぐーん、と遠くに飛んで、窓ガラスにぶつかるのと、雀くんが勢いよく掃除用具入れへとぶつかるのはほぼ同時で、前者ががつん、と優しい音だったのに対し、ガッタアアアアン! と大きくなった掃除用具入れは、勢いで扉が開き、ばらばらと箒が雀くんの上に落ちてきた。

「……う、わ」
言葉を失うというのはこのことだと思う。いつものように、よっしゃあ! と拳を握ることもできずに、「す、すずめくん?」 俺は無抵抗に近づいた。
壁へと倒れ込んでいた雀くんは、なぜだか、肩をふるわせていて、(な、泣いて)「く、ククク……」(……笑ってらっしゃる!?)

こわい……雀くん超コワイ……前々からコワイなとか思ってたけれど本気コワイ……「あ、じゃ、俺、これで」 じゃッ! 「待ちなよ」

彼は、おもむろに、箒へと、手をつかんだ。


ぼきり。





「………あれ」
「さあ、二回戦だよ」
「え、ちょ、ま、箒、今、素手でお、折、え、二刀流?」
「いいかんじに逃げてよね」
「あ、ちょ、ああああああああ!!!!!」



道具使用は、卑怯だと思います。




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2010.01.10
1000のお題 【715 凶器にピッタリ】