| お弁当を片手に、よいしょと一言。 「 トコトコトコ。お昼のチャイムと一緒に、(教室じゃ食べにくいので)中庭へと向かっていた私。いつも歩く廊下の未知で、ちいさく、声が聞こえた。ほんの少し高めの男の子の声は、ついこの間、どこかで聞いた事がある。きょろきょろきょろ。あんまり大きく頭を動かして探すのもあれだから、目のはしっこだけ、きょろきょろ 私の斜め後ろで、茶色くて、ぴょこん、と飛び跳ねた髪の毛を発見した。ツンツンあたま。 どうやら彼が、声の主らしいけれど、どっかで、見たような、見てない、ような? ちょこっと挙動不審気味に視線をゆらす彼には悪いけど、なんだか、ぱっと出てこない。「ええっと……」 口元にちょんっと人差し指をつけて、おもいだす、おもいだす。びくっと、茶髪の子がこっちを見て、震えたのがみえた。………この挙動不審振り、どこかで。 「あ、あのときは、ありがとうございました!」 「へ、あの」 「さよなら!」 はっと、思い出した。あの走りっぷり。一生懸命さがにじみ出るかんじは、そういえば、不良にからまれていた男の子だ。そっか、同じ中学校だったんだ(っていうか、同じ学年だったんだ) つるん、と滑ったポーズで、あたりをキョロキョロと彼は見回す。こっちを、ちらっと見た(遠くて、よく分からないけど)目があったから、パタパタ手をふってみると、顔をまっかにしてまた走り去る。「ぷっ」ごめんなさい、おもわず笑っちゃった。くすくすくす。 震える肩に、ぽん、と誰か手を置いた「、お前なに笑ってんの?」さわやかに、にかっ (………学校じゃ、話さないでって、いったのに) 「、です。山本くん」「武だって、」 なんだか、とっても不毛な気がしてきたので取りあえず当初の目的の中庭へと、足を進めた。後ろで、「ー?」と何度もいってくる声が聞こえたけど、無視です、もう話しかけないでください、と人睨みしてみた(だっていつもこの人、口で通じないんだもん)「ん? なんだ、かわいいなぁ」 頭を、なでなで。…………………キー!! 「さわるなこのばかっ」 「おっと」 「お、おとなしく、殴られてくださいっ」 「なんだ、ゴキゲンナナメだなぁ、あの日か?」 「さ、爽やかに、セクハラ発言、やめてぇ!」 だめだ、この人は、口でも態度でも、何にしても伝わらない! 足をスタスタ動かして、生徒の隣を通り抜けるたびに、ぎょっとした目でみんなが見てくる。男の子ならまだいいけど、女の子なら、あらん殺気をぶつけられる私の気持ちになってほしい!「ああもうっ私はお弁当を食べるんです、ついて来ないでください!」 いい加減にして、といった気持ちで、くるん、と振り返って、私がどんなにスピードをあげようとも、同じスピードでついてくる山本君を睨んで叫んでみた。気づけばとっくに目的地についていて、周りに生徒なんていない事はとってもラッキー。 けれども、私の叫びはひゅるりとどこ吹く風で、吹っ飛ばした彼は、また、にかっと笑って、「なぁ、、さっきツナと話してなかった?」 つなって、だれですか?(おさかなですか?) と考えて、イコール、茶髪の彼。そっか、あの子ツナくんっていうんだ。覚えておこう。別に、私がだれと話してもいいでしょ、とちらっと目で非難してみた。どうせ伝わらないだろうけど、と思ったけど、意外にも、彼は口のはしっこをあげて、「だよなぁ」と苦笑した後に、「まぁ俺、アイツに赤マルチェックしてんだよ」 (山本くんって、変な、ひと) そんなに鋭いなら、いつもそうだったらいいのに、と考えて、いやいやいや、と頭をふった。なんかやだ、それ。やっぱり山本くんは、ちょっととぼけてるぐらいの方が 細々と生えた芝生の上で、ぽつんと立って、見つめ合い(な、何をしてるんだろう) お弁当を思わずぎゅっと握っていると、山本くんが、にこり。「一緒に、たべねぇ?」 彼の右手に垂れ下がった、コンビニの袋に、不健康だなぁ、って思った後に、なんだか変だなって思った。 (だって、いつもなら山本くんそんな事いわない) 気のせいか、気のせいだか、山本くん、いつもより、笑顔が一割り増しなのだ。だったらいいことじゃない、そういわれればそうかもしれないけど、なんだか、変な、笑顔。なんでだろう、気のせいかな、いつもと違う(気がする) ぎゅ、と唇を咬んだ。 学校じゃ、話しかけないでくださいっていってるのに。 「………いいですよ」 そういった瞬間、ぱぁっと、とっても嬉しそうに、彼は目を細めて、あ、いってよかったなぁ、とちょこっと思った。 (それで、コンビニお弁当は不健康なので、お弁当、作ってあげようかなって思った) BACK TOP NEXT 2007.12.22 |