ずっとずっと、小さな頃。


お母さん曰く、




私はお母さんの膝の上にちょこんと乗って、絵本を読んでいた。どんな内容だったか、今じゃすっかりぼやけてしまって覚えていないけれど、真っ黒な服に身を包んだ『ニンジャ』という、半人前の男の子が奮闘する話だった。

ちょこまか動く、小さな姿が、とっても印象的で、『お母さん、ニンジャって、かっこいいねぇ』 思わずぽつりと漏らした言葉に、お母さんは、クスリ、と小さく微笑んでいった。

。忍者ってね、とっても近くにいるのよ』
『うそだぁ』
『ホントよ。近く過ぎて気づかないのよ』

ぎゅ、と抱きしめられた膝の中で、とろんと瞳を閉じそうになって、『じゃあお母さん、ニンジャって、どこにいるの?』
駄目よ、と声が聞こえた。忍者はね、お母さん達をこっそり隠れて護ってくれてるの。だからね、気づいちゃ駄目なのよ。

ふわりと暖かな言葉と、ゆったりとした眠気の中で、お母さんが、『、知らないふりをしなきゃ駄目よ』
お母さんの膝の中で、うとうととゆっくり目を細めながら、私は考えた。誰かが、こっそり私の事を護ってくれているところ。こっそり、こっそり。

ああきっと私は。



(ニンジャに、恋をした)




、遅刻するぞ」
「わわっ、まって、竹巳!」




1000のお題 【876 禁止事項】




  


2007.12.08