「キル様あそびましょーよー」
とにっかり笑って彼へと手を振ると、「今俺忙しいんだよね」とあっさりあしらわれてしまった。



>>毒印



広いゾルディック家の庭の中で、一つ、切り株の上にちょこんと腰を下ろしている彼の周りをぐるぐると回ると、鬱陶しそうに右手に持った、ガラスのコップの中身をちゃぽんと揺らした。
俺はやっぱその瞳にぞくぞくしながら「何飲んでんスか?」と訊くと、「毒だよ、どーく」

「はー、マジッスか。凄いッスねぇ」
「別に凄くねーよ。あー、マズイ。でもこれ飲まないと親父にぼこられるしなー」
「毒にマズイも何もあるんスか」
「毒は全部マズイよ。っていうか、舌が毒だって分かるんだもん」

マズイマズイ。飲みたくねー。そう呟きながらちびちび液体を飲む彼の前に俺は座り込むと、視線の高さは同じくらいになった。目の前で無色透明の液体が、たぽんと揺れる。

「キル様それ俺も飲んであげましょーか」

ごくりと彼が喉をゆらして「なんでだよ」と半眼で睨む。「だって一人より二人のほーが飲みやすそうじゃないッスか」
ちょっとそれってどんな味か、キルア様の気持ちってのを理解してみたかっただけかもしれないけど。

「お前バカだろ。が飲んだら死んじゃうよ」
「俺キルア様に殺されるなら幸せすぎて死んじゃうかも」
「アホか。だいたい俺に殺されるんじゃなくて、毒に殺されるだけじゃないか」

至極もっともなキルア様のご意見に、なるほどそうか、そんなんちょっとイヤだなぁ、と「じゃ、やっぱやめときます」と手をぱたぱたと横に振った。
キル様頑張れ、フレフレーと応援に徹してみたのだが、「鬱陶しいよ」とスパンといいきられ、やっべキル様それもう一回いってくれませんかね、とドキドキしてしまった。


1000のお題 【928 茶飲み友達】


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2008.08.10