「丁度いい、そこの君、ちょっと脱いで」

そう死んだ魚のような目に告げられたとき、俺ってそんな趣味ないんだけどなぁ、
とちょこっと思った。



>>裸になる



俺のじっとりとした視線に気づいたのか、俺の雇用主の一人、イルミ様は長いお綺麗な髪をさらさらと揺らして、「別にオレもそんな趣味ないよ」とスパン! といいきられた。それはよかったと感じる反面、じゃあなんで俺脱がされてんでしょう、イッター!

「ちょ、ちょっとイルミ様、まだキル様にやられた傷完治してませんから、ちょ、ちょっと触んないで……っ!」

そんな俺の悲鳴も空しく、彼はぐりぐりぐりうりうりうりとグルグル巻いた俺の包帯の上から、指の腹で強く押す。しまいにはその指先は俺の中の肉にえぐり込んでいて、俺はキル様ならいいけれど、イルミ様にそんな事やられても全然嬉しくない。いいやそういう問題じゃないのも分かってるけれど、真っ白い包帯はどんどんとどす黒い色に変わり、ぴっちり隙間なく巻いていたはずなのに、ほんの少しずつずれてくる。

「キルもまだまだなんだよね、もっと容赦なく切らなくちゃ」
「イルミ様いたいいたいいたいいたい」
「キルの腕前見るのはさ、やっぱり生きた肉を切り裂いた後が一番いいんだよね。あと治りかけがまたまた。そう思ってたらいい感じのカモがのそのそ歩いてるじゃない」


多分そのカモってアレだなぁ、俺だなぁ、いい感じにネギしょってたんだろうなぁ、といい感じに頭の中がぐらぐらする。ほんの少し遠くなりかけた声が、「それ、キルに斬り殺されそうになったときどれくらい痛かった?」
その瞬間俺の脳裏はすぱっと覚めた。


「それはもうまた新しいキル様の傷跡出来ちゃうんじゃないかって幸せでした!」
「いや別に君の見解はどうでもいいから。痛かったか聞いてるだけだから」
「痛かったけど幸せでした!」


死んだ魚な目の彼は、やっぱり死んだまま俺をじっと見詰めて、その手を止めた。「うん、まぁ大体分かったからいいけどさ」
すっかり赤黒くなった俺の腹にどうしようゴトーさんに助けを求めようかなぁ、と自分の腹をゆっくり撫でようとしたとき、

「なんかきみ、気持ち悪いよね」


随分真顔で、そういわれた。



1000のお題 【186 カミングアウト】


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2008.08.11