こんにちは。私は、10歳になった。


第2話  絶対絶対絶対に




最初の内は、微妙な抵抗があった。
いきなり生まれたてほやほやになってるかと思ったら、死にそうになって、助けられて。ぐるぐると回る展開に、脳みそが付いていけなかった。
もしかしたらこれは、夢なんじゃないだろうか、と。もう一回飛び降りたら、その夢から覚めるんじゃないだろうか、と。
(いやいや、そんな勇気ありませんでしたよ)

あの後私は施設ってトコに預けられた。お世話してくれる皆さんはとっても優しかったし、(何かの漫画で読むような殺伐とした空気ではなかった)学校だってちゃんと通ってる。
学校の勉強はとっても難しい。最初の頃は何も考えてなかったけど、スーパー小学生となって崇められそうになる直前で気づいた。私は小学生なのだ、と(コナンの気持ちが分かりました)

平仮名だってわざと汚く書く事はバッチリになったし、計算ミスだってお手のもの。わざわざ確認までして何だか空しい(そんな事考えてはいけません!)

新しい名前にはもう慣れた。ちゃんっていうらしい。誰が考えたか知らないけど、中々可愛らしいセンスだと思う。


けれども、そんな事はどうでもいい。私の胸の中をいっぱいに占拠しているのは、私が初めて赤ん坊になったと分かった日の事。
『ユーシ』という少年の事だ。

はじめ、赤ん坊用のベッドに寝かされながら、あのユーシという少年が私の前に現れて、私を守ってくれるんじゃないかと思ってた。そう、精一杯叫ぶ私を気づいてくれた時のように。
けれども現実はそうじゃなくて、いつまでたっても彼は来ないし、そんなこんなで月日は巡って10年となってしまう。

あの日の事は、今でもはっきり記憶してるけど、彼の声は(視界が白くて姿は分からない)もうおぼろげになっている。

けれども、絶対に見つけ出してやる、と心の中でいつも思う。


所謂、あれは運命の出会いなのではないだろうか、と。
ううん、運命とか、そうじゃない関係なしに、私は彼にありがとう、っていいたい。

私が10歳、彼があの時4、5歳だったとしたら、今は14、5。
多分中学3年生ぐらい。あの特徴的な言葉は、関西弁ってヤツかな。
(けれどもここは東京で、ユーシなんて名前の子はいったい何人いるのやら)



けど、絶対、絶対、

「見つけ出してやるぞ、おー!」







  


2007.03.22