「かーいーどーうーくーん」
にこやかに、手を振りながら寄ってみた。
ギロン! ………瞳に射抜かれました。
第10話 付きまといdays
「何か用」
「用はないさ!」
「……(ギロン)」
「(再び!)」
密かなギロリン対決が勃発中、微かな紙の匂いが鼻をついた。そう大量の紙の匂いは、この委員会に入ってちょっと慣れたかもしんない(む、本はあんまり読まなかったんだよう)
「海堂くんってさ、ホント、よくここに居るよね」
「……別に」
「そんな本読んで面白い?」
「………普通」
「ふーん」
ちらりと彼の読んでいる本を覗こうとしたら、バシンと本を閉じられた。ガードは中々高めだ。ちらりとまた彼と目が合って、えへへ、と笑って誤魔化してみる。ギロリ、とまた一回。そんでガタリとイスをひく音。
「あれ、かーいどーうくーん」
(一応)小さく呼びかけ。(図書室では、静かに! ね)片手に持った本を、そのままカウンターの上へとつきだして、タンタン、と机を叩いていた。(おう、委員の相方が震えている)(ゴメンよ、本田君)
震える本田君を尻目に、図書カードを受け取って、すーっと風のように、海堂君は消え去ってしまった。…中々流れるような動作が素敵だ。
トコトコとカウンターへと足を進めて、そろそろ真面目に作業に戻ろうかしら、とガタンをイスに座り込んだら、隣の本田君が何やら私へと話があるのか、口をもごもごとさせている。一応親切心を胸に、なぁに? と首を傾けてみた。
「…さんって、よく海堂君と話せるね」
「なんで?」
「だって、恐いじゃん」
おいおい海堂君、キミってば、小学生で既に畏怖の目で見られてるのか
(す、末恐ろしいガキンチョだ)
「別に海堂くん、ちょっと目線が鋭いだけだと思うけど」
「ちょっとじゃないから恐いんだよ」
……なるほど。うむ、こうなったら反対に気になって仕方ないじゃあないか。
むー、と考えて、ピコンと名案。
(友達第一号は、海堂君に決定だ)
よし、と意気込み。にやりと微笑み。隣で本田君が、「仕事してよ」といっていたのは無視しよう。
□□□
「かーいどーうくんっ」
廊下を悠々と歩いていた海堂くんに、ハートマークの勢いで後ろからアタックしてみた。ぐふっといった声が聞こえて、ギロリとこっちを見て、そのまま早歩き。む、失敗。
「かいどうくーん」
お弁当箱片手にひなたぼっこの海堂くんに突撃してみた。舞い散ったおかずと共に、はじき出された。失敗!
「かいどうくんったらー」
取り敢えず、豆粒状態の海堂くんに手を振ってみた。気づかずに通り過ぎた所を見ると、実は目が悪いのかも? あちゃー、失敗。
「むー…」
カリカリカリ。ここ数日の成果をノートに書き込み。失敗の文字でどんどん埋まっていく真っ白い紙が、何だか寂しい。数行で終わる成果に、ため息一つ。む、どうしよう。
がやがやとうるさい教室を見つめて、イスの背もたれにだらんと垂れてみた。……良いアイデア誰かぷりーず。
ふはー、とした息に、目を瞑って耳を澄ませてみた。案外するすると聞こえる声に、教室って色んな音が混じってるなぁ、と思いながら、隣でキャッキャと聞こえる女子の黄色い声に、昔は私もあんな風にはしゃいでたんだけどなー、と考えた。…ダメだ、なんか年くっちゃってる感じ。
「あのね、それで私稲垣くんに告白するの!」
「え? どうやって?」
「教室に行って、呼びだしてもらおうかなって」
(…呼び出し?)
マジで? 教室? 直接?
「…盲点だった」
意外だ。
ちらり、と時計の文字盤を確認して、お昼休み中の有意義な時間はあとどれくらいかしらと確認してみた。ちっちっちっ。オッケー、思い立ったが吉日とはよくいったもんですから!
「レッツ、突撃!」
だっだっだ! と階段を駆け下りて、廊下を走る(いや、ホントはダメなんだけどネ!)くるりと一回転して、ドアの取っ手に手をズビシ! ガラガラガラ! 頭の中がぐるぐると回転してて、クラス中の目線がぐいっと私に集まったのがわかった。もちろん海堂くん含みで(お前は上級生のクラスで何をやっているんだという目線だった!)
「海堂くんに物申す!」
すいすいすいっと吸い込んだ息。ぐるりと海堂くんに集まる目線(うっほう)
「お友達になってください!」
のちに、お友達大告白事件と呼ばれる。
(この後私は海堂くんに引っ張られ強制連行の形となった)
(あは!)

2007.06,15
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